今年のカンヌ映画祭で、前評判の期待を裏切ることなく見事パルムドール賞に輝いたアブデラティフ・ケシシュ監督(この名前は覚えづらい)の『アデルの人生(La vie d’Adèle)』。ついに10月9日からフランスで一般封切りされました!・・・が、私はまだ観ることができておらず、レビューができなくって残念なのですが、今日は「女性ふたり」が主人公の映画について思った駄話をさせていただきたいな、と思います。
まずこの作品は『Le bleu est une couleur chaude』というフランス人女性作家のBD(マンガ)を原作にしています。15歳の少女アデルが青い髪の女性エマと知り合うことで、女性同士の愛を知ってゆくというあらすじ。若い女優ふたりの壮絶なセックスシーンが問題視された上、おりしもフランスでの同性婚の合法化か否かが議論されている最中だったということも加わり、いろんな意味で大変注目されていた話題作でした。
● 『アデルの人生』予告編
カンヌのコンペティションに出品されると決まってからは、下馬評で常にパルムドール候補となっていたこの作品ですが、私は一切映画を見なくても「これは絶対にカンヌで賞を獲る〜!」と勝手に確信していました。というのも、ポスターのビジュアルがある映画にとっても似ていたから・・・シネフィルの方はピンと来たでしょうか?そう、1998年のカンヌでダブル主演女優賞を獲得したエリック・ゾンカ監督の『天使が見た夢(La vie rêvée des anges)』です。タイトルの出だしからして同じですが、『アデルの人生』のポスターを観た瞬間、デジャヴ感がぷんぷん。なんだったっけなぁ、と記憶を辿っていくと、その先に『天使が見た夢』があったというわけです。こちらも、若い女性ふたりが主人公のストーリー。注目の若手実力派女優と新人女優の組み合わせ、しかも舞台はどちらも北の街リールで、共通点がいくつか。
カンヌで主演女優ふたりが賞に輝いた瞬間の映像はとても印象的でした。まだ若かったエロディ・ブシェーズと新人のナターシャ・レニエ。名前を呼ばれた瞬間のふたりの驚いた顔に感動したのを覚えています。ちなみに、この作品は翌年99年のセザール賞でも最優秀映画賞、主演女優賞、新人女優賞と主要な賞を獲得しています。
というわけで、勝手に「似ている」と思い込んでいた『アデルの人生』は、見事パルムドールに輝いたわけですが、残念ながら女優賞は逃してしまいましたね。ふたりがダブル受賞する姿を見たかったなぁ。きっと、新人のアデル・エグザルコプロス(この名前も覚えられない・泣)はナターシャ・レニエのように一躍スター女優になり、レア・セドゥはエロディ・ブシェーズのように若手実力派としてさらなる飛躍を遂げるでしょう。
● 『天使が見た夢』予告編
それにしても、女性ふたりが主役の映画ポスターやスチールって、顔をくっつけて微笑んでいるアップの構図が定番なんでしょうか?この2作品のほかに、ハリウッドの女性バディ映画の傑作『テルマ&ルイーズ』やベット・ミドラーの『フォーエバー・フレンズ』(日本のドラマ『素顔のままで』は似てましたね。安田成美ちゃんと中森明菜ちゃんの)、ベット・ミドラーつながりで『ステラ』って映画もポスターがこんな感じだった覚えが・・・というわけで、こちらに並べてみました。
ね、似てません?というわけで、女性ふたりが主人公の映画で観るのを迷ったら、頬寄せて微笑んでいるジャケ写は間違いなく面白い、ってことで、今後映画を観るかどうかの決め手として役立ててください(笑)
ところで、今までずっと原題を直訳して『アデルの人生』と書いてきましたが、日本でのタイトルは未定なのでしょうか?大ヒットした『アメリ』にあやかって『アデル』とかいう邦題にならないといいんだけど・・・とちょっと心配しております。