セーヌ川にかかるポン・ヌフ橋とリヴォリ通りの間に1870年に創業した「Samaritaine(サマリテーヌ)」は長年パリ市民に親しまれた老舗のデパートでした。2001年にLVMHグループが買収したものの、建物の安全性の問題で惜しまれつつ2005年に閉店。それから16年に及ぶ改修工事を経て、商業施設に加え、オフィス、保育園、住宅、ホテル、スパのある複合施設としてついに2021年6月23日、リニューアルオープンしました。
歴史的建造物指定を受けているこの百貨店の建築を尊重したポン・ヌフ館、新たに建てられたリヴォリ館に分かれています。ポン・ヌフ館のメインエントランスであるモネ通り(rue de la Monnaie)にあるファサードは、1911年に完成したアール・ヌーヴォー様式の装飾が華やかです。
ポン・ヌフ館の最大の見どころは、鉄とガラスで造られたアール・デコ様式の天井と階段の美しさ!
最上階(5階)ではガラス天井から入る明るい日差しのもと、美しい装飾をゆっくり鑑賞することができます。ここには1日中開いているバー&レストラン「Voyage」もあります。
デパートの売場面積20000㎡と、パリの他店よりも小さめですが、よりセレクトされた品揃えという印象です。ポン・ヌフ館はラグジュアリーブランド、クリエイターズブランド、時計やジュエリーがメイン。
地階にはヨーロッパ最大のビューティー&コスメ売場があります。
同じく地階には、Dalloyau(ダロワイヨ)のシェフ・パティシエがサマリテーヌのために生み出した宝石のようなパティスリー「L’Exclusive」が。
ここはポン・ヌフ館でもリヴォリ館に近いエリア。
地階のエスカレーター横は、定期的にテーマが変わるスペース。8月末まで「旅」や「流浪」をテーマにしたルイ・ヴィトンのコレクションが置かれています。
館内に飲食スペースが点在しているのも新サマリテーヌの特徴。ガラス屋根から明るい日差しの入る、このスペースはDalloyau(ダロワイヨ)がプロデュースするフィンガーフード&ティールーム「Dinette」。
リヴォリ通りに面するリヴォリ館は日本の建築ユニットSANAAが設計を手がけました。波打つような透明のファサードはぐっとモダンな印象で、クラシックなポン・ヌフ館との対比が面白いですね。
リヴォリ館はより若い世代をターゲットにしたストリート&アウトドア系のブランドがメイン。
地上階には10月末まで、ギャラリー・ペロタンによるアートなスペースが広がります。
地階エスカレーター横には、パリの人気エピスリーのカフェ「Petit Plisson(プチ・プリソン)」が手がけるカフェ・レストラン「Parisienne(パリジェンヌ)」。
地上階にはカラフルでユーモアのあるパティスリー「Bogato(ボガト)」が手がける「Sweet Corner」。リヴォリ館にぴったりなポップさ。
最後にご紹介するのはセーヌ川から見えるファサード。こちらは1928年に完成したアール・デコ様式の建物。ここには高級ホテル「Cheval Blanc」が2021年9月開業予定です。