ジャック・リヴェット監督が87歳で死去

フランスのヌーヴェルヴァーグの時代を支えた中心人物のひとり、ジャック・リヴェット監督が1月29日に亡くなりました。87歳でした。ヌーヴェルヴァーグ映画と聞いて、誰もが思い出すトリュフォーやゴダール、ロメールの名前に比べると、決して知名度が高いとは言えないジャック・リヴェットは映画ファンの間では知る人ぞ知る監督でした。実際に、ヌーヴェルヴァーグ映画の幕開けとなったのが、リヴェットが1956年に発表した短編映画『Le Coup du berger(邦題:王手飛車取り)』と言われています。この作品には、のちのヌーヴェルヴァーグには欠かせない存在となった俳優ジャン=クロード・ブリアリが出演し、ゴダールやトリュフォーがカメオ出演を果たしています。



|Le Coup du Berger 王手飛車取り|

その後は60年代に『Paris nous appartient(邦題:パリはわれらのもの)』、『Suzanne Simonin(邦題:修道女)』、『L’amour fou(邦題:狂気の愛)』、70年代に『Céline et Julie vont en bateau(邦題:セリーヌとジュリーは舟でゆく)』、『Noroît(ノロワ)』など今も語り継がれる作品をを発表しました。

|Céline et Julie vont en bateau セリーヌとジュリーは舟でゆく|

そして、80年代には監督のミューズだった女優ビュル・オジェとその娘パスカル・オジェ(若くして亡くなってしまった伝説の女優さん)が共演した『Le Pont du Nord(邦題:北の橋)』、90年代はなんと言っても日本でもミニシアターで話題を呼んだ『La belle noiseuse(邦題:美しき諍い女)』の印象が強烈でした。その後も、2009年に発表した最後の作品『36 vues du pic Saint-Loup(ジェーン・バーキンのサーカス・ストーリー)』
まで半世紀以上にわたって30本の映画を撮り続けました。

|Le Pont du Nord 北の橋|

|La belle noiseuse 美しき諍い女|

監督になる以前は、エリック・ロメールとともに『ラ・ガゼット・デュ・シネマ』を創刊したり、のちに『カイエ・デュ・シネマ』の編集長も務めました。

最近ではシャブロル、ロメール、そしてアラン・レネとヌーヴェルヴァーグの旗手たちがこの世を去りとてもさみしいです。個人的には、まだ見たことのない作品もたくさんあるので、この機会にまた彼らが作った数々の映画に触れてみたいと思います。

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