フランスでは来月3月23日・30日に市議会選挙が予定されています。2001年から2期続けてパリ市長の職にあるベルトラン・ドラノエ(Bertrand Delanoë)は、3期目を目指して出馬せず、後進に道を譲ることをすでに3年前に発表しており、4月からは新しいパリ市長が誕生することとなります。
2月10日にはパリ市庁舎でドラノエ市長にとって最後の市議会が行われ、議員たちは党派の違いを超えて大きな拍手のもとドラノエ市長を送り出したとのことです。
せっかくなので、ドラノエ市長の経歴を簡単にご紹介しましょう。
1950年、チュニジア(当時フランス領)にフランス人の両親のもと生まれる(現在63歳)
1971年、21歳で社会党に入党。
1977年、パリ市議会に初当選。
1981年、国民議会議員に初当選。
1995年、元老院議員に初当選。
1998年、TV番組内で自身がゲイであることを明らかにする。フランスで初めて、同性愛者であることを公表した国会議員となった。
2001年、パリ市長に就任。(2008年再選)
ドラノエ市長のもと、「パリ・プラージュ」や「ニュイ・ブランシュ(白夜祭)」など今ではパリを代表するイベントに成長したイベントがスタートし、自転車レンタル「ヴェリブ」、自動車レンタル「オトリブ」の設置など、自動車交通削減にも力を入れました。
2001年パリ市長に就任したころは、「同性愛者であること」に注目した取り上げ方も多かった記憶がありますが、今となってはそんなことは誰も話題にしなくなりました。一見進んでいるように見えて、実はまだまだ根強い差別の残るフランスで、ドラノエがカミングアウトし、さらに、長きにわたってパリ市長という重要な職にあったことは、この国の歴史のなかでも、大事な出来事のひとつと言えるかもしれません。
なお、3月のパリ市議会選挙はドラノエ市長が推薦する社会党のアンヌ・イダルゴと、右派UMPのナタリー・コシュースコ=モリゼという2人の女性の一騎打ちの様相で、4月には史上初の女性パリ市長が誕生することになりそうです。ちなみにフランスの大都市の女性市長といえばリール市長のマルティーヌ・オブリーくらいしか見当たらず、フランスも少なくとも政治の世界ではまだまだ男性優位というのが現実です。