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1960年代のヌーヴェルヴァーグから現在に至るまで、長きに渡りフランス映画界を代表する存在だったフランス人映画監督ジャン=リュック・ゴダールが、2022年9月13日にスイスのロールにある自宅で息を引き取りました。91歳でした。同日、妻のアンヌ=マリー・ミエヴィルとプロデューサーたちは、特に持病はなく、ゴダールが自らの意志で人生を終わらせることを選んだ、と安楽死(自殺ほう助)であることを明かしました。また、それを世間に公表することもゴダールが望んでいたとのことです。
1960年代に次々と発表した作品群の数々は半世紀以上たった今もなお、世界各国のシネフィルたちに愛され続け、若い世代にも影響を与え続けています。2018年に発表した『イメージの本』が最後の作品となりました。フランス映画には詳しくない、普段からあまり見ないという人でも、ゴダールの名前や『勝手にしやがれ(À bout de souffle)』といったタイトルはきっとおなじみでしょう。
『勝手にしやがれ』ポスター
ほかにも、『小さな兵隊(Le Petit Soldat)』『女は女である(Une femme est une femme)』『軽蔑(Le Mépris)』『気狂いピエロ(Pierrot le fou)』『中国女(La Chinoise)』『はなればなれに(Bande à part)』『ゴダールのマリア(Je vous salue, Marie)』『右側に気をつけろ(Soigne ta droite)』など、挙げきれないほど多くの名作、そして衝撃作を残したゴダール監督。軽やかで新鮮なストーリーやカメラワーク、それを演じる役者と彼らが着こなす衣装、独特な色合いのセットや小物づかいといった映画の中身のみならず、スタイリッシュなタイトルバックやポスタービジュアルでも常に魅了してくれました。
ゴダール監督、今まで素晴らしい映画をありがとう!
『勝手にしやがれ』タイトルバック
『はなればなれに』カフェでのマジソン・ダンスのシーン
『はなればなれに』伝説のルーヴル美術館ゲリラ撮影シーン
『軽蔑』スタッフ名を読み上げる驚きのオープニング