
植物の薬理作用を利用して、心と体を整える植物療法 「フィトテラピー」は、フランスではおばあちゃんの知恵と同じように古くから受け継がれる自然療法の一つです。ここでは、パリ在住のフィトテラピストmakiさんが、よく使われるハーブや精油を季節に応じた症状別にピックアップ。日本でも取り入れやすいフィトテラピーを通して、毎日がより快適で楽しくなるアイデアをパリからシェアします。
ここでご紹介するフィトテラピーは、病気を治すためのものではありません。自然治癒力を高め、ちょっとした心身の不調を整えたり、予防法の一つとしておすすめするものです。
自分の身体の声を聞いて、皆さんの毎日を快適にするヒントとなれば嬉しいです。
4月のフィトテラピー
Avril
心と身体に寄り添うハーブ
4月は新年度の始まり。お仕事や学校などの環境が変わり、新しい人間関係やスケジュールに適応するのにストレスを感じている方も多いのではないでしょうか?
自分自身だけでなく、ご家族や身近な方が「なんとなく元気がないな」「ちょっとイライラしてるかも」と感じたら、植物の力を借りて、少しでも気分が軽くなれるようサポートしてみましょう。
今回は、心に寄り添い、ストレスをやわらげてくれる頼れるハーブを3つご紹介します。
〔 メリッサ(レモンバーム) 〕
「植物性のトランキライザー」とも言われるほど、ストレス緩和の代表格であるメリッサ。やわらかくもさっぱりした味わいで、緊張した心をゆるめてくれます。ストレス性の胃腸の不調にも効果的です。イラッとした時や、なんだか気持ちが落ち着かないと感じたら、メリッサティーを一杯どうぞ。日本でもタンチュメール(植物の成分を抽出した液体)も売っているのでオフィスに置いておいて、会議やアポイントの前や後にさっと飲むのも良いでしょう。

メリッサは、90度程のお湯に茶匙2から3杯(カップ1杯分)を入れて、10分から15分ほど浸出させて飲みましょう。すっきりした味わいはクセになるかも?!
〔 シベリアンジンセン(エゾウコギ) 〕
「もう頑張れない…」と感じるほど、心身ともに疲れたときに力を貸してくれるハーブです。アダプトゲンと呼ばれる成分が、身体をストレスから守り、エネルギーの回復をサポートします。プレッシャーが続く時期や、気持ちが落ち込みがちな方におすすめです。ハーブティーやサプリメントの形で取り入れられます。
*15歳以下、体重50kg以下のお子様には使用不可。継続して飲む場合は3ヶ月まで。(その後は1ヶ月あけて再度服用は可能)

左:シベリアンジンセンは根の部分をお茶に使います。こちらは熱湯に茶匙2杯(カップ1杯分)を2分ほど煮出してから火を止めて10分ほど進出させて飲みましょう。
右:タンチュメール(浸出液)もあります。
〔 パッションフラワー 〕
夜中に目が覚めたり、考えごとで眠りが浅くなったりした時におすすめの「睡眠サポートハーブ」。リラックス効果が高く、自然な眠りへ導いてくれます。寝る1時間前にお茶として飲むのが理想ですが、時間がない時はタンチュメール(浸出液)を水に垂らして手軽に摂るのも◎。ヴァレリアンというハーブと一緒に飲むと睡眠への効果アップです。
*服用中のお薬がある場合には医師に相談してください。
ハーブティーを淹れる時は、カップ一杯に対して茶匙2、3杯を約10分から15分蒸らすのが目安です。シベリアンジンセンのように根や茎の部分をお茶としていただく際には、2分程煮出してから蒸らすとより効果が得られます。

フランス人の友人宅のお庭に咲いていたパッションフラワー。ハーブに特に詳しい友人ではありませんが、パッションフラワーは眠りに良いというのは知っているほど、身近な植物のようです。
⌘ フィトテラピスト(植物療法士) Maki
フランスで植物療法「フィトテラピー」を知り、日常に取り入れ始めて10数年。2020年からルボア・フィトテラピースクールにて森田敦子に師事。東京でファッションPRを経験した後に渡仏。10年以上にわたるフランス企業での海外メディアPRを経て、現在はフリーランスとして活動中。
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– Makiさんからのメッセージ –
パリに住み始めた10数年前から興味を持っていた植物療法 「フィトテラピー」は、今では毎日を快適に過ごすために優しく寄り添ってくれるものとなりました。フランスの薬はなんだか強そう、という勝手な先入観から植物由来の優しそうなサプリやハーブティーで自分をケアしたいと思ったのが始まりでした。本格的にスクールで受講したり、15年来のお付き合いになる医師からのアドバイス、エルボリストリ(ハーブ薬局)での処方など、自分でも実践していて、なおかつ効果が広く認められているものを皆さんとシェアできればと思います。
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