フランスの歴史に名を刻んだ女性10人の黄金像

パリ・オリンピックの開会式で、各国選手団を乗せた船を見守るようにセーヌ川沿いに並べられていた、フランスの歴史に名を刻んだ女性10人の黄金の像が、9月23日から10月5日まで国民議会の中庭に展示されています。無料ですが要予約(予約サイトはこちら)で、9月26日現在、すでに全日満員となっているようですが、もしかしたら枠が追加される可能性もゼロではないので、行きたい方はフランス時間の午前中早めの時間を狙って定期的にチェックしてみてください。

14世紀の歴史上の人物から、つい数年前に亡くなった方まで、さまざまな苦難を乗り越えながら偉業を成し遂げたこれらの女性たち、そしてその後ろにいた、すべての名もなき女性たちのおかげで、私たちの今があるんだなあと感動するのと同時に、オリンピックの開会式で彼女たちにスポットライトを当てたのは素晴らしいことだなと思いました。

せっかくなのでこの機会に、この女性たちひとりひとりがどんな人物だったのか、展示されていたフランス語の解説と日本語訳の両方と、一言コメントを記しておきますね。()内は生没年。




Christine de PISAN
クリスティーヌ・ド・ピザン

Poétesse, première femme à vivre de sa plume
詩人、ペンで身を立てた初めての女性
(1364−1431)
ヴェネツィアに生まれ、フランスで活動。夫を亡くし未亡人となってから再婚せずに文筆業で生計を立てたのは、中世では非常に珍しいことだったそう。

Jeanne BARRET
ジャンヌ・バレ

Exploratrice et botaniste, première femme à faire le tour du monde
冒険家で植物学者、世界一周航海をした初めての女性
(1740−1807)
ジャンという偽名で男性と偽り船に乗り込んだというからすごいですね。

Olympe de GOUGES
オランプ・ド・グージュ

Pionnière du féminisme, dramaturge et rédactrice de la Déclaration des droits de la femme et de la citoyenneté
フェミニズム運動の先駆者、劇作家で、「女性および女性市民の権利宣言」の著者
(1748−1793)
フランス革命の時代を生き、反革命の容疑で逮捕されて最後はギロチンにかけられました…

Louise MICHEL
ルイーズ・ミシェル

Institutrice, écrivaine, militante anarchiste et féministe
教師、作家、無政府主義者でフェミニスト
(1830−1905)
とても有名で、メトロの駅名や学校の名前でよく見かけます。

Alice GUY
アリス・ギイ

Réalisatrice de plus de 300 films, première productrice de cinéma
300本以上の映画を手がけた史上初の女性映画監督でプロデューサー
(1873−1968)
リュミエール兄弟やジョルジュ・メリエスの陰で忘れ去られていた映画のパイオニア。





Alice MILLIAT
アリス・ミリア

Athlète et organisatrice des premiers Jeux mondiaux féminins en 1922
スポーツ選手、1922年に開催された初の国際女子オリンピックの主催者
(1884−1957)
水泳やホッケー、ボート競技の選手で、国際女子スポーツ連盟を組織しました。オリンピックでは最初、陸上など「女性らしくない」とされたスポーツの女子参加が禁止されていたなんて、本当に信じられませんね。

Paulette NARDAL
ポーレット・ナルダル

Intellectuelle et journaliste, pionnière de “l’internationalisme noir”
知識人、ジャーナリスト、「黒人世界評論」の先駆者
(1896−1985)
フランスの海外県マルティニーク出身で、妹のジャンヌと共に黒人文化の価値を知らしめる運動を行いました。ソルボンヌ大学で学んだ初の黒人女性。

Simone de BEAUVOIR
シモーヌ・ド・ボーヴォワール

Philosophe, mémorialiste, auteure du Deuxième Sexe
哲学者、回想録作家、『第二の性』の著者
(1908−1986)
女性解放運動を牽引、結婚も子供を持つこともないという当時としては進歩的なジャン=ポール・サルトルとの関係、その生き方そのものが多くの女性に影響を与えました。

Simone VEIL
シモーヌ・ヴェイユ

Magistrate, ancienne ministre, première Présidente du Parlement européen
判事、大臣、女性初の欧州議会議長
(1927−2017)
アウシュヴィッツ強制収容所から生還した後、パリで法学を学び、判事や大臣を歴任。像に刻まれた1974年11月26日は、人工中絶合法化法案を国民議会に提出したシモーヌ・ヴェイユが後世に残る演説を行った記念すべき日。

Gisèle HALIMI
ジゼル・アリミ

Avocate, co-fondatrcie du mouvement “Choisir”, ancienne députée
弁護士、「選択する」運動の共同提唱者、国民議会議員
(1927−2020)
チュニジアに生まれたジゼル・アリミは、パリで法学を学び、弁護士としてチュニジアやアルジェリアの独立運動のために闘ったほか、人工妊娠中絶の合法化運動にも参加し、シモーヌ・ド・ボーヴォワールらと共に「Choisir la cause des femmes(女性の大義を選択する)」を立ち上げるなど、生涯を通して女性のために活動しました。

No Comments Yet

Comments are closed