ポンピドゥー・センターのすぐ南どなりに、広々としたスペースに大きな噴水が設置されたイゴール・ストラヴィンスキー広場があります。パリに数ある噴水のなかでもちょっと特別なこの噴水が、18ヶ月の修復を経て再び2023年11月7日から動き出しました。
この広場に、今からちょうど40年前の1983年に完成した「ストラヴィンスキーの噴水」は、フランスを代表する現代芸術家の1人、ニキ・ド・サンファルと、その夫でスイス人芸術家のジャン・ティンゲリー夫妻によって共同制作されました。縦33m、横17mの長方形の噴水に、広場の名前にもなっているロシアの作曲家イーゴリ・ストラヴィンスキーの『春の祭典』にインスパイアされたという16体の自動人形が配置されています。
人形は金属や樹脂でできていて、カラフルなものはニキ・ド・サンファルが、黒のものはジャン・ティンゲリーが手がけました。人形にはそれぞれ、ストラヴィンスキーの作品にちなんだ名前がつけられています。動き続ける人形に合わせ、水がしぶきをあげる姿がとても面白い噴水です。
ちなみに1983年にこの噴水が誕生した当時、お隣のポンピドゥー・センターと同じように、その奇抜なスタイルを批判された際には、現代芸術の愛好家だったクロード・ポンピドゥー元大統領夫人が支持を表明して支援したそうです。
なお、ストラヴィンスキーの噴水の後ろには、パリ4区とパリ市の肝いりで実現した代表的なストリートアーティスト3人の巨大な作品があります。向かって左の巨大な顔はジェフ・アエロゾル、真ん中はシェパード・フェアリー、そして右は、インベーダーによるモザイクで、まさに芸術の街パリを象徴するような広場です。