2016年1月16日から、東京都庭園美術館にてエミール・ガレの作品を展示する「ガレの庭 花々と声なきものたちの言葉」が開催されます。エミール・ガレ(1846-1904)と言えば、ヨーロッパの19世紀末を彩る装飾様式「アール・ヌーヴォー」の立役者の一人で、フランスのナンシー派を代表するガラス工芸家。オルセー美術館や装飾芸術美術館で彼の作品を鑑賞した人も多いでしょう。花や昆虫など自然をモチーフとした作風で知られ、ガラスだけでなく、陶芸と木工家具の3分野でも活躍し、1889年と1900年のパリ万国博覧会でグランプリの栄誉に輝いたアーティストでもありました。自然の描写を通して抽象的な概念を表現することで、ガラスや木工家具を単なる装飾ではなく、哲学的な世界観を表す芸術作品へと昇華させたのです。
当時、単なる「装飾」と捉えられがちだったガラス工芸や木工家具を、哲学的な世界観を持つ芸術作品へと昇華させた背景には、彼の植物学に対する情熱がありました。専属の庭師を雇って2,500~3,000種もの植物を庭で育てたり、植物を観察して種の進化やライフサイクルにまで強い関心を寄せていました。
今回の展示会で特に注目して欲しいのは、ガレの作品とともに展示されるオルセー美術館所蔵のデザイン画の数々。水彩のデザイン画は展示することが許される期間が短いため、オルセー美術館でもお目にかかる機会が滅多にないという大変貴重なもの。その中でも珍しい実作と一致するデザイン画は必見です。
植物と花という観点から鑑賞するガレの作品は、また違った感動を与えてくれることでしょう。
〈画像クレジット〉 1枚目左:《脚付杯 ひなげし》 被せガラス、マルケットリー、手彫り、脚台熔着 1900年(1900年パリ万国博覧会出品作)
1枚目右:《デザイン画「脚付杯 ひなげし」》 紙に鉛筆、水彩 1900年頃 オルセー美術館蔵 ©RMN-Grand Palais (musée d'Orsay) / Hervé Lewandowski / distributed by AMF
2枚目左:《花瓶 においあらせいとう》 被せガラス、マルケットリー、手彫り 1900年
2枚目中央:《花瓶 茄子》 黄斑入りガラス、マルケットリー、頸部熔着、手彫り 1900年(1900年パリ万国博覧会出品モデル)
2枚目右:《蘭文八角扁壷「親愛」(カトレア)》 被せガラス、サリッシュール、 アプリカッション、手彫り 年記1900年(1900年パリ万国博覧会出品モデル)
3枚目右:《デザイン画「蜻蛉文受皿」》 紙に鉛筆、水彩 年代不詳 オルセー美術館蔵
©RMN-Grand Palais (musée d'Orsay) / Hervé Lewandowski / distributed by AMF
3枚目左:《蜻蛉文受皿》 スモーク・ガラス、エナメル彩、金彩、金属箔挿入 1878ー1889年
INFORMATION
/ Emile Gallé - Nautre & Symbol -
場所東京都庭園美術館(本館・新館)
期間
2016年1月16日(土)〜4月10日(日)
開館日
10:00〜18:00(入館は17:30まで)
休館日
第2・第4水曜日(1/27、2/10、2/24、3/9、3/23)
住所 →パリの地区マップ
東京都港区白金台5-21-9
最寄り駅 →メトロ路線図
JR山手線「目黒駅」東口/東急目黒線「目黒駅」正面口/都営三田線・東京メトロ南北線「白金台駅」1番出口
料金
1,100円、大学生(専修・各種専門学校含む)880円、中・高校生/65歳以上 550円
パリ・ミュージアム・パス
→http://www.teien-art-museum.ne.jp