©︎ Chantal Akerman Foundation
特別鑑賞券を5組ペア10名様にプレゼント!
昨年春に大好評を得た「シャンタル・アケルマン映画祭2022」が、今年はさらに充実したラインナップで開催されます!今回もまた、配給会社マーメイドフィルムさんとのコラボ企画として、トリコロル・パリ読者5組10名様へのチケットプレゼントをご用意していますので、このページをスクロールしてお気軽にご応募ください。
1950年にベルギーのブリュッセルに生まれ、2015年にパリで逝去するまで、文芸作からミュージカル、ドキュメンタリーといったジャンルや形式にこだわらない数々の意欲作を世に放ってきた女性監督、シャンタル・アケルマン(Chantal Akerman)。2回目となる「シャンタル・アケルマン映画祭2023」では、昨年上映した代表作『ジャンヌ・ディエルマン』はじめとする5作品に加え、監督が18歳の時に初監督した『街をぶっとばせ』、1993年に東欧の国々の市井の人々を捉えた傑作ドキュメンタリーやミュージカル『ゴールデン・エイティーズ』など新たな作品を加えた全10作品のラインナップになっています。ソフトでもなかなか見ることのできない彼女の作品を大スクリーンで観られる貴重な機会です。
『街をぶっ飛ばせ』Saute ma ville ♡映画祭初上映
Collections CINEMATEK – ©Chantal Akerman Foundation
監督・出演:シャンタル・アケルマン
撮影:ルネ・フルシュター
1968年|ベルギー|モノクロ|12分
当時18歳だったアケルマンが、ブリュッセル映画学校の卒業制作として初めて監督、主演を務めた記念すべき作品。。花束を手にアパートの階段を駆け上がったひとりの女。鼻歌を口ずさみながらパスタを作って食べ、調理器具をばらまき、洗剤をまき散らし、マヨネーズを浴びる。狭いキッチンで縦横無尽に暴れ回る彼女の支離滅裂な行動は、驚くべき事態で幕を閉じる。その後の反逆的な作品群の原点とも言える破壊的なエネルギーに満ちた、あまりに瑞々しい短編。『家からの手紙』と併映。
『一晩中』Toute la nuit ♡映画祭初上映
Collections CINEMATEK – ©Chantal Akerman Foundation
監督:シャンタル・アケルマン|撮影:カロリーヌ・シャンプティエ、フランソワ・エルナンデス、マチュー・シフマン
出演:オーロール・クレマン、チェッキー・カリョ、ヴェロニク・シルヴェール、ヤン・デクレール
1982年|ベルギー・フランス|カラー|90分
ブリュッセルの暑い夜、眠りにつくことのできない人々。ある者は恋人の腕のなかに飛び込み、ある者は街に繰り出し、夫婦は語らい、そしてある者はバーでダンスを踊る……。官能的な熱を帯びた一晩の中で連結していく、数々の出会いや別れ。詩的な青色の夜を描き出す撮影監督の一人は、ジャック・リヴェット監督『北の橋』(81)、80年代のジャン=リュック・ゴダール監督作品、近年ではレオス・カラックス監督『アネット』(2021)を手掛けた名カメラマン、カロリーヌ・シャンプティエ。
『ゴールデン・エイティーズ』Golden Eighties ♡映画祭初上映
© Jean Ber – Fonda&on Chantal Akerman
監督:シャンタル・アケルマン|脚本:シャンタル・アケルマン、ジャン・グリュオー、レオラ・バリッシュ、ヘンリー・ビー ン、パスカル・ボニゼール|撮影:ジルベルト・アゼヴェード、リュック・ベナムー
出演:デルフィーヌ・セイリグ、ミリアム・ボワイエ、ジョン・ベリー、リオ
1986年|ベルギー・フランス・スイス|カラー|96分
美容院やカフェが並ぶパリのカラフルなブティック街を舞台に、そこで働く従業員たち、客たちが恋模様を歌い上げるミュージカル。パステルカラーの衣装に身を包んだ登場人物たちが歌い踊るロマンティックな浮遊感と、愛に対するアケルマンの容赦ない視線が巧みにバランスされている。シナリオにはフランソワ・トリュフォー監督作品に欠かせないジャン・グリュオー、アンドレ・テシネ監督『ブロンテ姉妹』(79)やジャック・リヴェット監督『美しき諍い女』(91)を手掛けたパスカル・ボニゼールと名脚本家が参加した。
『家からの手紙』News from Home ♡映画祭初上映
Collections CINEMATEK – ©Fondation Chantal Akerman
監督:シャンタル・アケルマン|撮影:バーベット・マンゴルト、リュック・ベナムー
1976年|ベルギー・フランス|カラー|85分
路地、大通りを走る車、駅のホームで電車を待つ人々、地下道……。1970年代ニューヨークの荒涼とした街並みに、母が綴った手紙を読むアケルマン自身の声がかぶさる。固定ショットやトラベリングで映し出される公共のロケーションと、時折車の音に掻き消されながらも朗読される、愛情溢れる言葉の融合。都会の寂しさと、遠く離れた家族の距離がエレガントな情感を持って横たわる、映画という〈手紙〉。『街をぶっ飛ばせ』と併映。
『東から』D’Est ♡映画祭初上映
Collections CINEMATEK – ©Fondation Chantal Akerman
監督:シャンタル・アケルマン|撮影:レイモンド・フロモン、ベルナール・デルヴィル
1993年|ベルギー・フランス|カラー|115分
ポーランドやウクライナ、東ドイツといった、ソ連崩壊後の旧共産主義国の都市とそこで暮らす人々の姿をとらえたドキュメンタリー。ナレーションや場所の名前をも排して、アケルマンは時折市井の人々の家庭の様子を散りばめながら、果てしない距離や文化情勢、生活様式を記録した。洞窟のような駅のホーム、カメラを見つめる人々の表情、寒空……。透徹した眼差しがその場所で確かに流れる時間と観客を近づけ、好奇心を駆り立て、映像そのものが静かに語りはじめる。日本語字幕無し。
『私、あなた、彼、彼女』Je Tu Il Elle
© Chantal Akerman Foundation
監督・脚本:シャンタル・アケルマン|撮影:ベネディクト・デルサル
出演:シャンタル・アケルマン、クレール・ワティオン、ニエル・アレストリュプ
1974年|ベルギー・フランス|モノクロ|86分
アケルマン自身が演じる名もなき若い女性がひとり、部屋で家具を動かし手紙を書き、裸で砂糖をむさぼる。部屋を出た彼女はトラック運転手と行動を共にし、訪れた家で女性と愛を交わす……。殺風景な空間と単調な行為が彼女の閉塞感や孤独を際立たせ、激しく身体を重ね合うことで悦びがドラマティックに表現される。観客は彼女の道程を緊張感を持って見つめることによって、その“時間”を彼女と共有する。
『ジャンヌ・ディエルマン ブリュッセル1080、コメルス河畔通り23番地』Jeanne Dielman, 23, quai du Commerce, 1080 Bruxelles
© Chantal Akerman Foundation
出演: デルフィーヌ・セイリグ、ジャン・ドゥコルト、ジャック・ドニオル=ヴァルクローズ
1975年/ベルギー/カラー/200分
ジャンヌは思春期の息子と共にブリュッセルのアパートで暮らしている。湯を沸かし、ジャガイモの皮を剥き、買い物に出かけ…アパートの部屋に定点観測のごとく設置されたカメラによって映し出される反復する日常。その執拗なまでの描写は我々に時間の経過を体感させ、反日常の訪れを予感させる恐ろしい空間を作り出す。主婦のフラストレーションとディティールを汲み取った傑作。ジャンヌを演じるのは『去年マリエンバートで』(61)『ブルジョワジーの秘かな愉しみ』(72)のデルフィーヌ・セイリグ。