「ルネ・クレール レトロスペクティブ」巨匠ルネ・クレール監督 没後40 周年特別企画

映画史上、様々な監督や製作技術の向上に多大な影響を与えたフランスの巨匠、ルネ・クレール監督。没後40周年という記念すべき今年、1930年代のトーキー初期に作られたクレールの傑作群を中心に、選りすぐりの5作品を一挙に公開する「ルネ・クレール レトロスペクティブ」が開催されます!2021年10月15日(金)から、東京の新宿武蔵野館と愛知の伏見ミリオン座を皮切りに、大阪のテアトル梅田や神奈川のシネマ・ジャック&ベティほか、各地で順次公開予定です。詳しくは公式サイト劇場情報をご覧ください

監督初のトーキー作品『巴里の屋根の下』(1930)、『巴里祭』(1933)は今でも歌い継がれるシャンソンの名曲を主題歌に、パリの下町で花咲く若者たちの恋の行方を描いた名作。『ル・ミリオン』(1931)はフランスのお家芸とも言える、ドタバタ劇の笑いを随所に散りばめ、『自由を我等に』(1931)では、貧富の差が広がる社会への批判を込めながら男たちの友情と恋を大らかに描いています。そして、50年代に制作したクレール円熟期の集大成とも言える『リラの門』(1957)では、フランス国民が今も愛してやまない伝説的歌手ジョルジュ・ブラッサンスを役者として起用し、ユーモアたっぷりの可笑しくも切ない人情喜劇の傑作となっています。




1924年、写真家マン・レイや画家マルセル・デュシャン、音楽家エリック・サティらと制作したシュールレアリスムの無声短編映画『幕間 -Entr’acte』でデビューを果たし、その大胆な映像と音楽のコラボレーションで世界を熱狂させ、26歳という若さで天才作家として名を馳せることとなったルネ・クレール監督。無声映画からトーキー、モノクロからカラー映画、ワイド・スクリーンへと映画技術が目まぐるしく発展していく中で、40年という長きにわたって常に第一線で活躍し続け、チャップリンや小津安二郎、ジャック・ドゥミをはじめとする世界の著名な監督たちからも敬愛され、大きな影響を与え続けました。映画界に新たな息吹をもたらし、フランス映画の黄金時代を築き上げたと言われる多彩な世界観は、モノクロでありながらも、生き生きとしたビビッドな彩りを今も感じさせてくれます。映画の原点を作った巨匠の一人であり、フランスの至宝と愛され続けるルネ・クレール監督の傑作を、大スクリーンで鑑賞できるとても貴重な機会です。映画美術史上に名を残すラザール・メールソンが手がけた、パリの街並みやアパルトマンのセットなども必見です!!ぜひ、お見逃しなく!

映画『ルネ・クレール レトロスペクティブ』予告編





© 1930 – TF1 DROITS AUDIOVISUELS

『巴里の屋根の下』4K デジタル・リマスター版

|ストーリー|
パリの街角で楽譜を売って生活しているアルベール(アルベール・プレジャン)は、ルーマニアからやって来た女性ポーラ(ポーラ・イレリ)をスリから助ける。アルベールはポーラに心惹かれるが、ゴロツキのフレッド(ガストン・モド)からも彼女は口説かれている。ある日の夜、ポーラはアパルトマンの部屋の鍵をフレッドに盗み取られ部屋に入れなくなり、アルベールのアパルトマンに泊まることになるが…。

|見どころ|
クレール初のトーキーで、世界でもヒットした初のフランスのトーキー作品。映画史上に名高いラザール・メールソンの美術、だまし絵のようなパリの街並みがノスタルジックな世界を作りあげる。タイトルと同名の主題歌のシャンソンも大ヒット、ラッセ・ハルストレム監督『ショコラ』(2000)でも楽曲が使用されている。

監督・脚本・台詞:ルネ・クレール
出演:アルベール・プレジャン、ポーラ・イレリ、エドモン・グレヴィル
撮影:ジョルジュ・ペリナル、ジョルジュ・ロレ/美術:ラザール・メールソン
唄「巴里の屋根の下」作曲:ラウル・モレッティ/作詞:ルネ・ナゼル/編曲:アルマン・ベルナール
原題:Sous les toits de Paris/1930 年/93 分/フランス/仏語/白黒・スタンダード
●1931 年キネマ旬報外国映画ベストテン第二位


© 1931 – TF1 INTERNATIONAL – SOCIETÉ DES FILMS – SONORES TOBIS

『ル・ミリオン』4K デジタル・リマスター版

|ストーリー|
画家ミシェル(ルネ・ルフェーヴル)とオペラ座ダンサーで婚約者のベアトリス(アナベラ)は同じアパルトマンに住んでいる。ある日、ミシェルが借金取りに追われてアパルトマン中が大騒ぎとなるが、友人のプロスペール(ルイ・アリベール)が宝くじの当選を知らせ、一同大喜び。しかし、肝心の宝くじは、手違いで謎のチューリップおやじ(ポール・オリヴィエ)の手に渡っていた…。果たして、ミシェルとベアトリス、プロスペールは宝くじを取り返すことができるのか?

|見どころ|
ブロードウェイミュージカルやハリウッドでも映画化された原作を、クレールはヴォードヴィル劇に改変。ローラーコースターコメディから大団円まで様式美にこだわりぬいた大傑作!ヒロイン役のアナベラを一気に世界的スターに押し上げた。

監督・脚本・台詞:ルネ・クレール
出演:アナベラ、ルネ・ルフェーヴル、ルイ・アリベール、レーモン・コルディ、ポール・オリヴィエ
原作戯曲:ジョルジュ・ベール、マルセル・ギユモー
撮影:ジョルジュ・ペリナル
音楽:アルマン・ベルナール、フィリップ・パレス、ジョルジュ・ヴァン・パリス
美術:ラザール・メールソン
原題:Le million/1931/83 分/フランス/仏語/白黒・スタンダード
●1931 年キネマ旬報外国映画ベストテン第四位


©1931 ─ TF1 INTERNATIONAL ─ SOCIETÉ DES FILMS

『自由を我等に』4K デジタル・リマスター版

|ストーリー|
刑務所仲間のルイ(レーモン・コルディ)とエミール(アンリ・マルシャン)は脱獄を企むも、要領の良いルイだけが成功。ルイは露店のレコード売りから巨大な蓄音機会社の社⾧にまで出世する。一方、刑期を終えたエミールは、偶然街で出会ったジャンヌ(ローラ・フランス)に一目惚れ。ジャンヌはエミールの工場で働いていた。ジャンヌの後をついて工場にたどり着いたエミールは、ルイと再会。ルイは自分の過去を知るエミールが疎ましく、厄介払いしようとするが…。

|見どころ|
金持ちが支配し、機械化する社会への批判がこめられた大らかな風刺劇。ヴェネチア映画祭で絶賛されるも、ファシスト政権下のイタリアや、ナチス・ドイツなどで上映禁止処分となった。おもちゃ箱のような工場の美術はユニークで、お金が空中に舞うラストシーンは圧巻!チャップリンの『モダン・タイムス』にも影響を与えた名作。

監督・脚本・台詞:ルネ・クレール
出演:レーモン・コルディ、アンリ・マルシャン、ローラ・フランス、ポール・オリヴィエ
撮影:ジョルジュ・ペリナル/美術:ラザール・メールソン/音楽:ジョルジュ・オーリック
原題:À nous la liberté/1931 年/84 分/フランス/仏語/白黒・スタンダード
●第一回ヴェネチア国際映画祭 最も楽しい映画賞受賞
●1931 年度アカデミー賞美術監督賞ノミネート
●1932 年キネマ旬報外国映画ベストテン第一位


© 1933 – TF1 DROITS AUDIOVISUELS

『巴里祭』4K デジタル・リマスター版

|ストーリー|
革命記念日の前日、お祭り気分のパリ。タクシー運転手のジャン(ジョルジュ・リゴー)は、向かいのアパルトマンに住む花売り娘のアンナ(アナベラ)と密かに惹かれ合っている。にわか雨をきっかけに、心を通い合わせたふたり。しかし、昔の恋人ポーラ(ポーラ・イレリ)がジャンの部屋に戻ってきて、誤解をしたアンナとジャンは喧嘩し離ればなれに…。

|見どころ|
主題歌「巴里祭」はシャンソンの代名詞的名曲で、ルネ・クレール自身が作詞を担当している。『ル・ミリオン』で世界的スターとなった、ヒロイン役のアナベラの可憐な美しさが眩しく、後世の映画に影響を与えた恋人たちの雨のシーンは必見。

監督・脚本・台詞:ルネ・クレール
出演:アナベラ、ジョルジュ・リゴー、レーモン・コルディ、ポール・オリヴィエ、ポーラ・イレリ
撮影:ジョルジュ・ペリナル/美術:ラザール・メールソン/音楽:モリス・ジョベール
唄:「巴里祭」作曲:モリス・ジョベール/原案:ジャン・グレミヨン/作詞:ルネ・クレール
原題:Quatorze juillet/1933 年/86 分/フランス/仏語/白黒・スタンダード
●1933 年キネマ旬報外国映画ベストテン第二位


©1956 ─ TF1 DROITS AUDIOVISUELS ─ RIZZOLI FILM ─ SECA

『リラの門』4K デジタル・リマスター版

|ストーリー|
お人好しで飲んだくれのジュジュ(ピエール・ブラッスール)は、仕事もせずに友人の〝芸術家″(ジョルジュ・ブラッサンス)の家に入り浸っている。ある日、南仏から警官殺しで色男バルビエ(アンリ・ヴィダル)が逃げてくる。ジュジュは〝芸術家″の家でバルビエを匿うことになり奇妙な友情が生まれる。しかし、バルビエはジュジュが密かに思いを寄せるマリア(ダニー・カレル)を誘惑する…。

|見どころ|
伝説的シャンソン歌手ジョルジュ・ブラッサンと作家ルネ・ファレ、ルネ・クレールの南仏サントロペでの出会いから生まれた。ブラッサンスは音楽を担当、劇中では演奏シーンも。『天井桟敷の人々』(1945)の名優ピエール・ブラッスールがお人好しのジュジュを熱演。ヒロイン役のダニー・カレルの小悪魔的魅力が溢れる。

製作・監督・脚色・台詞:ルネ・クレール
出演:ピエール・ブラッスール、ジョルジュ・ブラッサンス、アンリ・ヴィダル、
ダニー・カレル
原作:ルネ・ファレ/撮影:ロベール・ルフェーブル/美術:レオン・バルザック
音楽:ジャック・メテアン
シャンソン:ジョルジュ・ブラッサンス
原題:Porte des lilas/1957 年/99 分/フランス・イタリア/仏語/白黒・スタンダード
●1957 年キネマ旬報外国映画ベストテン第六位




© 1930 – TF1 DROITS AUDIOVISUELS

『ルネ・クレール レトロスペクティブ René Clair Rétrospective』
巨匠ルネ・クレール監督 没後40 周年特別企画

公開日:2021年10月15日(金)〜
劇場:【東京】新宿武蔵野館、【大阪】テアトル梅田、【愛知】伏見ミリオン座、【神奈川】シネマ・ジャック&ベティほか全国公開
オフィシャルサイト:http://www.cetera.co.jp/rene40/
配給:セテラ・インターナショナル
→劇場情報はこちらから

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