毎年6月に行われる大学の入学資格を得るための統一国家試験、バカロレア(Baccalauréat, 通称Bac バック)の季節がやってきました。今年は6月18日(火)の朝8時、例年どおり哲学の試験からスタート。54万人を超える高校3年生たちが受験しました。
この大学入学資格試験に、文系理系を問わず、「哲学」という科目が存在すること自体がとても「フランス的」で毎年注目しています。なんと、ナポレオン・ボナパルトが1808年にバカロレアを創設した当初から、哲学は試験科目になっていました。試験時間は4時間!の長丁場。トリコロル・パリの解釈で2024年哲学の問題をご紹介しますが、問題を翻訳すること自体が難しいので、フランス語が得意な方はぜひより良い訳を考えてみてくださいね。これを高校3年生が解くのだと想像しながら読むとさらに味わい深いです。
(2012年の問題・2013年の問題・2014年の問題・2015年の問題・2016年の問題・2017年の問題・2018年の問題・2019年の問題・2021年の問題・2022年の問題・2023年の問題)
一般バカロレア(baccalauréat général)
3つのうち好きな1問を選んで答えよ
-La science peut-elle satisfaire notre besoin de vérité ?
(科学は、真実を求める我々を満足させられるか?)
-L’État nous doit-il quelque chose?
(国家は我々に何らかの義務を負っているか?)
-Commentaire de texte : Simone Weil, La Condition ouvrière (1943)
(シモーヌ・ヴェイユ『労働者の条件』(1943年)の抜粋テキストを解説せよ。)
技術バカロレア(baccalauréat technologique)
3つのうち好きな1問を選んで答えよ
-La nature est-elle hostile à l’homme ?
(自然は人間に敵対的であるか?)
-L’artiste est-il maître de son travail ?
(芸術家は自分の作品を支配できるか?)
-Commentaire de texte : Platon, Les Lois IX (IVe siècle av. J.-C.)
(プラトン『法律 第九巻』(紀元前4世紀)の抜粋テキストを解説せよ。)