サンジェルマン・デプレ駅とゆかりの人々(北方面ホーム編)

サンジェルマン・デプレ教会のすぐ隣に1910年開業したメトロ4番線サンジェルマン・デプレ駅(Saint Germain des Prés)。文豪や芸術家たちが集ったこの地区らしく、さまざまな文学作品のテキストが散りばめられたホームの装飾で知られていましたが、4番線の自動化のため2016年ごろからずっと工事中でした。その工事がようやく完了し、新たな装飾が登場したのでご紹介したいと思います。




パリのメトロのホームでは、濃紺に白地で駅名を入れた看板が掲げられているのが大半ですが、新しくなったサンジェルマン・デプレのホームでは踊るような字体の大きなアルファベットがタイルの壁に直接つけられています。「Saint Germain」または「Prés」が見える場所に乗っていないと、自分がどの駅に着いたのかわかりづらいというデメリットはありますが(笑)とにかくとっても可愛いです。さらに黒いアルファベットの上には、頭文字に合うようにサンジェルマン・デプレゆかりの人々の写真と解説が添えられています。

それではまずは北方面(Porte de Clignancourt方面)のホームを見てみましょう!

サンジェルマン・デプレゆかりの人々

=サガンのS=
フランソワーズ・サガン

Françoise Sagan
(1935-2004)
1954年、18歳のときに出版された『悲しみよこんにちは』が世界的なベストセラーとなったフランスの作家。日中は左岸のアパルトマンで執筆しながら過ごし、夜になるとサンジェルマン・デプレに繰り出して仲間と飲み明かす…サンジェルマン・デプレ黄金時代を謳歌した1人。

=ジョルジュのG=
ジョルジュ・ユニエ
Georges Hugnet

(1906−1974)
詩人・作家・編集者・映画監督・イラストレーター・ダダイズム研究者などありとあらゆる顔を持ち、まさにさまざまな分野の芸術家たちが交流し影響を与えあったサンジェルマン・デプレらしさを代表する人物。

=マニュエル(入門)のM=
ボリス・ヴィアン

Boris Vian
(1920−1959)
『日々の泡』などの小説で知られる作家・詩人・ジャズトランペット奏者。彼の著作『サン=ジェルマン=デ=プレ入門(Manuel de Saint-Germain-des-Prés)』には、第二次大戦直後、芸術家や知識人たちが集まって盛り上がったサンジェルマン・デプレの空気が詰まっている。

=ノートンのN=
アメリー・ノートン
Amélie Nothomb
(1966-)
サンジェルマン・デプレを象徴するカフェ・ド・フロールとドゥ・マゴという2つの老舗カフェはドゥマゴは1933年、フロールも1994年に文学賞を創設。このフロール賞を2007年に受賞したのがベルギー出身の人気小説家アメリー・ノートンの『Ni d’Eve, ni d’Adam(イブでもアダムでもない)』(のちに『東京フィアンセ』という題名で映画化)。

=ドゥロネのD=
ソニア・ドゥロネ
Sonia Delaunay

(1885-1979)
ロシアで生まれ、1920年代アールデコの時代のパリで活躍した女性芸術家。

=プレヴェールのP=
ジャック・プレヴェール
Jacques Prévert
(1900−1977)
サンジェルマン・デプレのあるパリ6区で生まれ育ったジャック・プレヴェールはフランスを代表する詩人の1人で、彼の詩を暗唱したことのない小学生はいないかも…歳をとってからも黒い帽子をかぶり煙草を咥えながらサンジェルマンの小道で犬の散歩をしていたという。

=サンゴールのS=
レオポルド・セダール・サンゴール
Léopold Sédar Senghor
(1906−2001)
フランス領だった時代のセネガルに生まれ、独立後にセネガル共和国の初代大統領となった。フランス語詩人としても有名。第一次と第二次世界大戦の間の時期にフランス留学しており、その際にサンジェルマン・デプレでさまざまな詩人や作家たちと交流した。

南方面ホーム(Mairie de Montrouge方面)編もお楽しみに〜!

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