フランス映画『セラヴィ!』監督トークショーレポート

2018年7月6日(金)に渋谷・シネクイントほか全国各地で封切られるフランス映画『セラヴィ!』の公開に先駆け、先日横浜で盛大に開催されたフランス映画祭2018にてエリック・トレダノ&オリヴィエ・ナカシュ監督のトークショー&ティーチインが行われました。映画祭のオープニングを飾る作品となった本作の上映後、映画を鑑賞した1000人以上の観客とともに両監督が過ごした、楽しいひとときをレポートいたします。




上映後のトークショーのモデレーターとして、東京国際映画祭プログラミング・ディレクターの矢田部吉彦氏と、元プレミア日本版編集者/元サッカー日本代表監督フィリップ・トルシエの通訳としても知られるフローラン・ダバディ氏が登場。

ダバディ氏は、フランス映画祭の想い出として「プレミア日本版に4年間関わって、一番楽しかった想い出は当時横浜で開催されていたフランス映画祭でした。4年間ずっと担当させてもらってきたんです。映画祭が横浜に帰ってきてくれてよかったと思います」と語りました。

上映後、大きな拍手に迎えられて舞台に登場したエリック・トレダノ&オリヴィエ・ナカシュ監督。トレダノ監督は「温かく映画を受け入れてくださり、ありがとうございます。本当に興味深い、皆さんで笑ってくださり、いい反応をしてくださいました。」と喜びを語る一方、ナカシュ監督は「本当に幸せな気持ちです。ものすごくフランス的な映画だし、フランスだから気に入ってくれるのかもしれないと思っていましたが、この映画が色んな国で公開されて、僕たちはこうやって色んなところに行くことができます」と挨拶しました。

ダバディ氏は「『最強のふたり』を初めて観たのは東京の映画館でした。20年間日本の劇場でずっとフランス映画を観てきたけれど、そこでは日本の皆さんと数人だけいたフランス人の観客が全く同じタイミングで笑っているのに触れて、本当に感動したんです」とコメント。客席で観客と一緒に本作を鑑賞したばかりのダバディ氏は「ふたりが作るユーモアは万国共通だと思います」と称賛しました。

それを受けてトレダノ監督は「そう言ってもらえて嬉しいです。僕たちにとっての麻薬は、“お客さんの笑い”なんです。2時間の間、自分の人生からちょっと離れて、皆さんに違う体験を一緒になってしていただくのは本当に素晴らしいことだと思います。僕たちは、皆さんの笑い声が聞きたくて日本にやって来ました」と、今回の来日に込めた想いを熱く語りました。




ダバディ氏が、2015年のパリ同時多発テロがふたりが本作を作ることにしたきっかけだったというエピソードに触れると、ナカシュ監督は「僕たち自身もすごく心を痛めましたが、テロリスト達の狙いはまさに僕たちが意気消沈することで、文化や心を彩ってくれる生活の場所を狙ってくるんです。だから僕たちは絶対にしょんぼりすることなく、あれだけ泣いた分、皆で一緒に顔を上げて笑いたいと強く思いました。僕たちふたりは物事をポジティブに考えたいんです。社会的な問題は多いですが、色んな人を集めて一緒に何かをすることでそれを乗り越えたいと思いました。偏った考え方に対しても、僕たちは手を取り合えば乗り越えられるんだというメッセージを映画を通じて伝えたいんです」と、映画制作への想いを熱く語りました。

本作で主人公のベテランウェディングプランナー・マックスを演じているフランスの名優ジャン=ピエール・バクリについて、トレダノ監督は「この映画で一緒に仕事ができてラッキーでした。バクリは本当に素晴らしい俳優で一緒にやりたいとずっと思っていました。彼は普段こういうコメディに余り出ないけど、今回、心を開いてこのコミカルな役を受け入れてくれました」と説明。世界の映画に精通する上でバクリのことを“不機嫌な中年男を演じさせたら世界一”と語る矢田部氏が、「そんな不機嫌な中年男にウェディングプランナーをやらせようと思うものすごい発想はどこから生まれたんでしょうか?」と質問を投げかけると、ナカシュ監督は「僕たちは駆け出しの頃、短編制作のためにイベントの裏方のアルバイトをしていました。そういう経験を通じて“仕事を一緒にやるチーム”についての映画を撮りたいとずっと思っていました。一方で、結婚式では表にいる参列者と、裏方で働く人たちとでは、社会的地位や結婚式に対する考え方もズレがあって、すごく映画に向いているんじゃないかと思ったんです」と本作のアイデアの出発点を披露しました。

個性が強すぎてマックスとスタッフ達を困惑させるブルジョワ層の新郎ピエールを演じているバンジャマン・ラヴェルヌは、本作に出演している主だった俳優の中では唯一の“コメディ・フランセーズ”出身者。映画ではピエールがとんでもない目に遭う場面がありますが、国立劇団としてフランス演技界のエリート中のエリートといえるこの組織の俳優がそのような役を演じていることについて、「エリートである彼が、あんなイヤな奴の役をやってくれたのが嬉しい。ピエールという人間は “まさにキン○マ野郎”ですよ!(笑)」と、思わず本音をつぶやき、通訳がそのまま訳してしまったことから、ピエールの顛末を知る場内は大きな笑いに包まれました。

物語の舞台となるのは、17世紀に建てられ、ルイ13世が所有していたパリ近郊のクランス城。監督ふたりは撮影が行われた4か月もの間、その城に寝泊まりしていたといい、ダバディ氏が、そういった文化的資源までもロケーションできるフランス映画制作をめぐる豊かな環境をうらやむ場面もありました。

両監督は、トークショー後もロビーに駆け付けた多くファン達に対してサインや写真撮影にも時間を気にせず気軽に応じ、観客との交流を心から楽しんでいた様子でした。





『セラヴィ!』
監督:エリック・トレダノ、オリヴィエ・ナカシュ
出演:ジャン=ピエール・バクリ、ジャン=ポール・ルーヴ、ジル・ルルーシュ、ヴァンサン・マケーニュ
原題:Le Sens de la Fête/2017年/フランス映画/117分
公開:2018年7月6日(金)より、渋谷・シネクイント、新宿シネマカリテ、池袋HUMAXシネマズ 他全国公開
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