パリのど真ん中、シャトレ広場からほど近い場所に、高さ62mのTour Saint Jacques（サン・ジャック塔）がそびえています。いつも見かけるけど外から眺めるだけという人が大半ではないかと思いますが、実はこの塔には登ることができ、その上からの景色はパリでも最も美しいパノラマの1つです。
この塔がある場所には、12世紀に建てられたサン・ジャック・ラ・ブシュリー教会がありました。14世紀から16世紀にかけてこの教会はどんどん大きくなってゆき、16世紀の初めに新たに建てられたゴシック・フランボワイヤン様式の鐘楼が、現存するサン・ジャック塔です。当時のパリではノートル・ダム大聖堂、サントゥスタッシュ教会に次いで3番めに大きい教会だったと聞けば、その規模がイメージしやすいかもしれません。
しかしフランス革命の後、この教会は国の所有となり、なんと建築石の再利用のため壊されてしまいました（！）売買契約に鐘楼の取り壊しを禁ずるという条項があったため、サン・ジャックの塔だけはなんとか生き残ることができたのです。
その後はこれまた驚くことに、猟銃用の弾丸製造工場として使われた時期がありましたが、二度の火災に見舞われるなど保存が危ぶまれるようになったため、1836年にパリ市が購入し、塔の改修が行われました。折しもパリではナポレオン3世とオスマンによる都市改造の真っ只中でした。1862年には歴史的建造物に指定され、1891年から1990年代末までは気象観測のために使われました。
気象観測所が移転し、2001年から2009年にかけてパリ市が本格的な修復工事を行い、ついに2013年、長い歴史のなかで初めて、一般公開が始まりました。
合計300段の狭い螺旋階段を上り下りするため、9歳以下の子供や、心臓疾患のある人などは見学ができないので要注意。歩きやすい靴で行くことも大事です。途中の階で、気象観測所のあったスペースからは塔のステンドグラスを内側から見ることができます。そしてなんといっても、この塔の見学の最大の見どころは、塔の頂上です！
塔の上に出たとき、それは階段を上った苦労が報われる瞬間！まさに360度のパノラマがぐるりと広がります。たとえばエッフェル塔の展望台のようにとても高い場所から見るのも良いのですが、モニュメントや道路がより近くに感じられるこの適度な高さで見るパリの景色も格別です。東西南北、見たことのある、行ったことのあるさまざまなスポットを見渡せる、おそらくパリを高いところから見下ろす場所ではかなり穴場の名所と言えるでしょう。
サン・ジャック塔の見学
サン・ジャック塔の見学は毎年6月初めから11月初めまでの金・土・日で、ガイド付き見学のみ。10時から17時まで毎時ちょうどに見学開始で、所要時間はおよそ50分。ガイドは基本的にはフランス語のみのようですが、ガイドさんによっては多少英語でも対応してくれる可能性はあります。とにかく塔の上からの景色が素晴らしいので、たとえガイドさんの話していることがわからなくても行く価値は大アリ。パンフレットは英語とフランス語の両方が記載されているので後でじっくり読めばOK！
＊事前予約はこのサイトから可能。予約メールを持って、当日15分前までにサン・ジャック塔のふもとにあるキオスク（上の写真）でチケットを交換。ただしフランス語のみなので、不安な人は直接キオスクでチケットを購入してください。
INFORMATION
サン・ジャックの塔 - Tour Saint Jacques
住所 →パリの地区マップ88 rue de Rivoli 75004 （地区：シャトレ・パリ市庁舎 ）
TEL
01 83 96 15 05
最寄り駅 →メトロ路線図
Châtelet 1、4、7、11、14番線
開館日
6月初め〜11月初めの金・土・日 10:00〜17:00の毎時ちょうど
休館日
11月〜5月
料金
12€、10〜17歳10€（9歳以下は入場不可）
パリ・ミュージアム・パス
不可
→https://boutique.toursaintjacques.fr/