【訃報】ジャン=ポール・ベルモンドが88歳で死去


バカンス明けのフランスに、とてもかなしいニュースが飛び込んできました。フランス映画界を代表する俳優として私たちを魅了し続けたジャン=ポール・ベルモンドが、2021年9月6日、パリの自宅にて亡くなりました。彼の弁護士の発表によると、ここ数日は随分と憔悴しており、静かに息を引き取ったそうです。半世紀という長きキャリアをわたって、80本もの作品に出演し、フランス国民はもちろん、世界中の映画ファンたちから愛されたベルモンド。フランス映画が好きな国外ファンの間では、『勝手にしやがれ(À bout de souffle)』(1960年)や『女は女である(Une femme est une femme)』(1961年)、『気狂いピエロ(Pierrot le Fou)』(1965年)といった一連のゴダール監督作品がおなじみですが、本国では、『リオの男(L’Homme de Rio)』、『大頭脳(Le cerveau)』(1968年)や『おかしなおかしな大冒険(Le magnifique)』(1973年)、『ジャン=ポール・ベルモンドの恐怖に襲われた街(Peur sur la ville)』(1975年)、『プロフェッショナル(Le professionnel)』(1981年)をはじめとする映画で、体を張ったスタントやアクションを得意とする役者としても絶大な人気を集めていました。ヌーヴェルヴァーグ映画の、ひょろっとしたニヒルな若者のイメージが強いベルモンドですが、シリアスからコメディまで実に幅広い演技でフランス国民を魅了し続けました。こと、アクションに関しては、現在では考えられないような危険なシーンもスタントマン無しで自らこなし、後のアクション映画やアクションスターたちにも多大な影響を与えた、映画史上に名を残すマルチな才能の持ち主でした。




『ジャン=ポール・ベルモンドの恐怖に襲われた街(Peur sur la ville)』

『ボルサリーノ(Borsalino)』(1970年)や『ハーフ・ア・チャンス(Une chance sur deux)』(1998年)など複数の作品で共演し、常にライバルとして語られることの多かった盟友アラン・ドロンからは、「私はすっかり打ちのめされています。5時間後に彼と同じ道を辿らないよう、気を強く持とうと努めてはいますが…いや、2人で一緒にあの世に旅立つのも悪くないかもしれない。彼とは60年前に共にデビューを果たし、私の人生の一部でした」というコメントが寄せられました。マクロン大統領もツイッターで「国の宝であり、彼が演じたヒーロー像の中に、誰しもが自分の姿を見出すことができた」と追悼しています。

2011年カンヌ映画祭にて名誉パルムドールを贈られたベルモンド

豪快で愛嬌のあるベルモンドの笑顔は、これからもずっと忘れられることなく、フランス国民から愛される続けることでしょう。ご冥福をお祈りいたします。

『気狂いピエロ』アンナ・カリーナと共演

『おかしなおかしな大冒険』予告編

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