エッフェル塔の最寄り駅、メトロ6番線のBir-Hakeim駅を降りて、エッフェル塔に向かう途中で「パリ日本文化会館(Maison de la Culture du Japon à Paris)」を見かけたことのある方も多いと思います。
パリ日本文化会館は1997年、セーヌ川に面したパリ15区の一角に開館。展示、公演、映画、講演会、図書館、日本語事業、子供向け事業、アトリエ教室など、さまざまな角度から日本文化を紹介する活動が続けられていて、日本に関心のあるフランス人にとってはマストなスポットになっています。コロナ禍で中止・延期になってしまったものの、昨年の秋以降だけでも竹細工アトリエ、蕎麦講座、海苔講座、茶の湯アトリエ、和菓子体験ワークショップ、ミニいけばな…などなど多様なイベントが企画されていたほか、舞台公演や映画上演もたくさん。
逆に日本から来た私たちにとっては、日本のどんなものがフランス人に人気なのかを目の当たりにすることができて興味深い場所でもあります。企画展は有料ですが、入館自体は無料で、地上階には無料で見学できる展示やおにぎりバー(2021年6月現在休業中)、さらには日本各地の名産品が見つかるショップ「タクミ・フレーバーズ」もあります。エッフェル塔の行き帰りに、ちょっと覗いてみてください。
2021年5月19日〜7月10日までは「美の秘密‐浮世絵に見る江戸時代の化粧と髪型」という展覧会が開催中です。江戸時代を中心に化粧風俗を描いた浮世絵や、化粧に使われた道具、装身具、日本髪を再現した雛形などから、江戸時代の化粧文化と当時の女性たちの美意識が紹介されています。
鏡台の前で真剣にお化粧をする女性を描いた浮世絵と、同じような鏡台の実物。メイクにかける情熱はいつの時代も変わりませんね。他にも美しい装飾が施されたさまざまな化粧道具が展示されています。
今では想像もつきませんが、当時、一般庶民の女性は結婚のタイミングで歯を黒く染め、子供ができると眉を剃る風習があったそうです。公家や武家の上流階級ではある程度の年齢になると眉を剃って、おでこに眉を描きました。写真は、眉の描き方を紹介する書物。眉メイクが大事なのも昔から変わらないんですね…!
さまざまな日本髪のパターンも紹介されていました。髪型ひとつとっても、身分や階級、年齢、未・既婚などによってルールがあったそうです。
最後のコーナーは、美人画の浮世絵が並ぶ「江戸美人百花」。
一鶯斎国周「当勢三十二想」
揚州周延「千代田の大奥」
お歯黒や眉剃り、白粉など、今とはかけ離れたお化粧の習慣と同時に、糠を使った洗顔や紅へのこだわりなど、現代に通じるものも多くあって興味深かったです。身分や年齢、職業に応じた化粧や髪型が決まっていて、現代よりもずっと不自由だった時代でも、さまざまな工夫でおしゃれを楽しんだ江戸時代の人々のことをより身近に感じました。
江戸時代と現在の美意識の違いはもちろん、日本とフランスの美意識の違いも確実にあるので、フランス人の見学者がどのような感想を抱いたのかにも、とても興味が湧きました。
美の秘密‐浮世絵に見る江戸時代の化粧と髪型
Secrets de beauté
Maquillage et coiffures de l’époque Edo dans les estampes japonaises
期間:2021年5月19日 (水) ~7月10日(土)
開館:火〜土 11:00〜19:00
料金:5€、割引3€、 18歳以下無料
予約必須:予約ページ
ちなみに会館の前の広場は「Place de Kyoto(京都広場)」と名付けられています。
INFORMATION
パリ日本文化会館 - Maison de la Culture du Japon à Paris
住所 →パリの地区マップ101bis quai Branly 75015 (地区:エッフェル塔/アンヴァリッド )
TEL
01 44 37 95 00
最寄り駅 →メトロ路線図
Bir-Hakeim 6番線
開館日
火-土 11:00〜19:00
休館日
日、月
料金
展覧会は有料
パリ・ミュージアム・パス
不可
→https://www.mcjp.fr