今のパリで行っておくべきお店がわかるグルメガイドとは…?





個人的な趣味で、そして、仕事のために、パリのおいしいレストランを探し続けて15年になります。パリには数え切れないほどのレストランがあり、時間にも予算にも限りある身としては、当然すべての店を試すことはできないので、雑誌、ガイドブック、ネットなどさまざまな方法で情報収集し、気になるお店をチェックしてから、実際に食べに行ってみるというのを繰り返しています。

フランスのグルメガイドの代表格といえばもちろん、みなさんご存知ミシュラン(Michelin)の赤いガイド。意見はいろいろありますが、やはりこのガイドの星の価値は今も高く、多くのシェフの目標となっています。同じようなガイドで次に有名なのは黄色が目印のゴー・エ・ミヨ(Gault et Millau)でしょうか。一つ一つのレストラン解説がミシュランよりも丁寧なのと、20点満点で採点しているのがわかりやすいガイドです。他にもピュドロ(Pudlo)やボッタン・グルマン(Bottin Gourmand)など、さすがにグルメの国らしくレストランガイドの種類は豊富ですが、どれも至極まじめなガイドです。





そんななか、ひとつだけ異彩を放つ存在なのが「Fooding」(フーディング:FoodとFeelingを組み合わせた造語)。2000年にアレクサンドル・カマスというグルメジャーナリストが立ち上げたこのガイドは、簡単にいえば「伝統的で堅苦しいガストロノミーから抜け出し、もっと気楽に食を楽しもう」という願いを込めて作られました。この10〜15年の間に、星付きの有名レストランで腕を磨いた若手シェフたちが、もっとカジュアルなスタイルでより多くの人に質の良い料理を楽しんでほしいと自らのお店をどんどん開くようになってきた傾向とちょうど呼応するように発展してきたガイドなのです。

レストランのセレクトも独特で、ミシュラン3つ星のレストランもあれば、今はやりのハンバーガーショップもあり、フレンチもあれば、アジアンもあり、レストランのカテゴリーに入らないようなカフェもあり…と、とにかく自由。単なる「良いレストランを並べたリスト」ではなく、「今のパリで行っておくべきお店がわかるガイド」という説明が一番ぴったりきます。2015年版には、まさにパリで今、大ブームとなっているストリートフードの店をピックアップしたマップが付録になっていました。ガイドブック自体のデザインや文章の表現なども独特で面白いです。(年1回発行/12.9€)これまたこのところパリで大ブレーク中の、日本人シェフたちのレストランもたくさん紹介されています。(上の写真のイラストには、2015年版のベスト・ビストロ賞を獲得したClown Barの渥美創太さんのお顔も!)

ガイドブックのほうはそれぞれの紹介文に短めの英語訳がついているだけなので、旅行者の方には多少不便かと思いますが、ホームページ(http://lefooding.com)でもサイトの一部が英語で読めます。ホームページでは新しいレストラン情報が随時追加されていますよ。

創刊当初は昔ながらのガイドブックに愛着のある人々から冷たい視線を受けていたこのガイドですが、今ではだいぶその価値を認められてきたような気がします。ミシュランがあって、Foodingもある、そんな幅の広さも、フランスの食の豊かさの証明かもしれません。

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