〈カトリーヌのミニヨニズム〉展

今からちょうど30年前の1992年にアルバム「Les Mariages chinois(レ・マリアージュ・シノワ)」でデビューしたフィリップ・カトリーヌ(当時のアーティスト名はカトリーヌ)。90年代のフレンチ・ポップス界でも特異な存在で、他の誰にも真似できない独特の世界観にハマってしまう人も多数。1994年発売の「L’Education anglaise(エデュカシオン・アングレーズ)」は日本でもスマッシュヒットを記録し、カヒミ・カリィのアルバムをプロデュースしたこともあり、ある意味カトリーヌの存在は、本国フランスよりも日本の方が知られていたかもしれません。




シンガー・ソングライターやプロデューサーとしてはもちろん、ここのところは俳優としてなど、マルチな才能を発揮している彼が、ロックダウン期間に生み出したコンセプト「Mignonisme(ミニヨニズム)」をテーマにした本が出版され、デパートのル・ボン・マルシェでも2月26日から4月24日まで「Mignonisme(ミニヨニズム)」展が開催されています。

「かわいい」という意味の「mignon(ミニヨン)」にイズムをくっつけた造語「Mignonisme(ミニヨニズム)」は、あえて翻訳するなら「カワイズム」という感じ。

2020年のロックダウン期間を、パートナーのジュリー・ドパルデューと子供たちと共に田舎の家で過ごしていたカトリーヌは、日常生活自体を実験の場所にしてしまおうと思いつきました。日々の暮らしの中にあるさまざまなものを使って、絵を描いたり、写真を撮ったり、オブジェを作ったり…何か具体的な意味のあるものというよりは、世界をちょっと新たな目線で見せてくれるような、ちょっとクスッと笑ってしまうような作品たち…それが「ミニヨニズム」なのです。

パリのデパートの中でも最もシックな雰囲気のお店、ボン・マルシェの店内のそこかしらにカトリーヌの分身?みたいなピンクの「ムッシュー・ローズ」たちがいるということだけでもすでに面白いのです。2階の展示スペースでは彼のミニヨニズムな作品と、限定グッズが見つかります。心が暗くなるニュースばかりの今日このごろ、思いがけず、カトリーヌの世界にほっこりさせてもらいました。

le mignonisme x Philippe Katerine au Bon Marché

2022年2月26日〜4月24日
24 rue de Sèvres 75007
公式サイト

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