NHK大河ドラマ「青天を衝け」渋沢栄一が訪れたパリのスポット

日本資本主義の父・渋沢栄一の生涯を描くNHK大河ドラマ「青天を衝け、ご覧になっていますか?7月11日(日)に放送された第22回では、1867年にパリで行われた万国博覧会に将軍徳川慶喜の名代として出席する異母弟・徳川昭武に随行した渋沢の様子が描かれましたね。

このヨーロッパ滞在は渋沢栄一に大きな影響を与えた重要な出来事ですが、このコロナ禍で海外ロケも難しくなっているなか、パリ編をどのように見せるのだろうと思っていたのですが、さすがNHK…最新のVFXを駆使して、当時の様子がうまく再現されていました。

パリに到着した徳川昭武一行が訪れたのはどこも、150年以上経った今もその面影を残している場所ばかりです。写真と共に、ご紹介しましょう!




渋沢栄一も登った凱旋門

最初に登場するのは、ご存知、凱旋門!ナポレオン・ボナパルトの命で造られ、完成した1836年から30年後に訪れたことになりますね。大きな荷物を背負った渋沢たちが薄暗い階段を一生懸命登ると、360度のパリのパノラマが広がります。高さ50mの大きなモニュメントで、しかも放射状に延びる12本の道路とパースペクティブの整然とした美しさに、渋沢も感動したに違いありません。しかも、このシャンゼリゼ大通り側の風景は150年前と現在であまり大きく変わってないのではないかと…

一方、エッフェル塔は1889年完成なので、渋沢栄一は見ていないはずですね。

オープンしたばかりのグランドホテル

幕府の使節一行が投宿したのが「グランドホテル」。オペラ・ガルニエのあるオペラ広場とキャプシーヌ通りに面したホテルで、現在も「インターコンチネンタル・パリ・ルグラン」として残っています。地上階には有名な「カフェ・ドゥ・ラ・ペ」もありますね。1862年創業なので、渋沢たちが行ったときはまだ真新しい高級ホテルだったことになります。

Zairon, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons

まだエッフェル塔のなかったシャン・ド・マルス

1867年、ナポレオン3世によって開催されたパリの万国博覧会の会場は、シャン・ド・マルスでした。今ではエッフェル塔のふもとにある公園として知られていますが、当時はもちろんまだなく、軍隊の敷地だったそうです。

現在は写真のように芝生が広がる大きなスペースで、エッフェル塔以外に大きなモニュメントや施設はありませんが、渋沢が訪れた万博ではここに縦490m、横380mの巨大な楕円のパビリオンが建設されていました。その建物はもちろん、展示されていた蒸気機関やエレベーターなど最新の技術に、幕府の使節団は圧倒されたことでしょうね。

シャン・ド・マルスはその後も万博会場として使われ、1889年の万博のために建てられたのがエッフェル塔です。ちなみに2024年パリ五輪でも競技会場の1つとして使われる予定です。

今は無き豪華絢爛なチュイルリー宮殿

徳川昭武のナポレオン3世との謁見の儀式が行われたのはチュイルリー宮殿。16世紀から国王や皇帝の宮殿として使われ、ナポレオン3世とウージェニー王妃の結婚式も行われましたが、1871年パリ・コミューンで放火されて焼失してしまいます。徳川昭武の謁見式の4年後にはパリが動乱の中にあったのかと思うと驚きです。現在はその庭園だけがチュイルリー公園として残されています。

尖塔の美しいノートル・ダム大聖堂

ノートル・ダム大聖堂も一瞬映りましたね。2019年4月の大火災で焼け落ちてしまった尖塔がまだ残る姿は何度見ても切なくなります。修復工事はコロナ禍にも負けず、2025年の完了に向けて着実に進んでいます。
2019年11月の様子2020年12月の様子2021年3月の様子

パリ使節団が過ごしたペルゴレーズの館

徳川昭武を始めとする使節団一行が滞在費を抑えるために移り住んだというペルゴレーズの館は、ブーローニュの森に近いパリ16区、ペルゴレーズ通り53番地に現存していて、Googleマップのストリートビューで外観を見ることもできますよ。ちなみに渋沢は別の場所に住んでここに通勤していたそうです。

NHKの青天を衝け公式サイトには、渋沢たちが滞在した時代のこの館をバーチャル見学できる素晴らしいページがありましたよ〜【360°ビュー】パリ ペルゴレーズの館

ナポレオン1世が眠るアンヴァリッド

渋沢たちが訪れたアンヴァリッド(廃兵院)は、ドラマでも言及されていたとおり、傷病兵を看護する施設としてルイ14世が造らせました。現在はその一部が軍事博物館となっています。

教会のドームの美しさでも有名で、その地下墓所にナポレオンの墓があります。

渋沢栄一は目にしていない!?アレクサンドル3世橋

ちなみにアンヴァリッドの風景を見せる際に一瞬だけ映ったアレクサンドル3世橋はパリのセーヌ川にかかる橋の中で最も豪華絢爛な橋で、奥に見えるアンヴァリッドの黄金のドームとの相性もぴったりです。が、が、実はこの橋は1897年から建設され、完成したのは1900年。つまり、使節団一行がアンヴァリッドを訪れたときにはまだ存在していなかったはずなのです。あ、ちょっと余計なことを書いてしまった…すみません!これも、フィクションならではの良さですね。

7月11日放送分だけでもこんなにたくさんのパリのスポットが出てきました。7月18日放送回でもまだもう少し渋沢たちがパリに滞在するようなので、楽しみに待ちたいと思います!

NHK大河ドラマ「青天を衝け」公式サイト

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