ブルス・ドゥ・コメルス – ピノー・コレクション

パリのど真ん中にあるショッピングモール「フォーラム・デ・アール」の公園をはさんだ向かい側に、安藤忠雄が改装を手がけた新しい美術館が開館しました。それが「ブルス・ドゥ・コメルス – ピノー・コレクション(Bourse de Commerce Collection Pinault)」です。




この新美術館は、フランスの実業家フランソワ・ピノーの個人コレクションを展示するスペース。フランソワ・ピノーはプランタン、グッチ、イヴ・サン・ローラン、バレンシアガ、ボッテガ・ヴェネタなどを傘下に持つピノー・プランタン・ルドゥート(PPR)グループを創設した実業家で大富豪です。世界有数の現代アート収集家としても知られており、絵画、彫刻、写真、映像、インスタレーションなどさまざまな形態を網羅した、1960年代から21世紀の現在までの主要な現代アーティストの作品を数多く所有しています。

かつて商品取引所として使われていた16世紀の歴史的建造物の外観はそのままに、内部の改装は安藤忠雄に託されました。神殿のようにも見える円形の建物で、中央の大きな吹き抜けの空間に、安藤忠雄らしい打ちっぱなしのコンクリートでできた円筒がそびえ、その周りを展示室が取り囲む形となっています。

暖かな天然光が差し込むこのガラスと鉄の天井(クーポール)と、それを彩る壁画は1813年のもの。美術館開館を機会に修復された1400㎡にも及ぶ巨大な壁画には、アメリカ、アフリカ、アジア、南欧、北欧、ロシアの人々の民俗が描かれています。当時の植民地主義や偏見を色濃く映し出しているとの評価を受けるこの絵画も、ある意味、大切な歴史の証人ということなのでしょう。

この美術館に入った見学者がまず目を奪われる、クーポール下、ロトンドのスペース。オープン展では、スイス人アーティスト、ウルス・フィッシャーの作品が展示されています。一見、大理石でできた古典的な彫刻のように見えるこの作品、実は蝋でできていて、定期的にろうそくのように火を灯すことで少しずつ溶けていき、そのすべてが作品となっています。その周囲には、同じく蝋製で溶けつつある姿のさまざまな椅子が散りばめられています。




地下から2階(日本式3階)まで、中央の大きな吹き抜け空間を取り囲むように展示ギャラリーがあります。4階にはフランスが誇る名シェフ、ミッシェル&セバスチャン・ブラスが手がけるレストラン「Halle aux Grains」が6月10日にオープン。ランチ/ディナータイムだけでなく午後の軽食やおやつが楽しめる注目の新スポットです。

オープン展では先ほども紹介したスイス人アーティストのウルス・フィッシャーのほか、アメリカ人アーティストのデイヴィッド・ハモンズ、イタリア人アーティストのルドルフ・スティンゲルなどが大きく取り上げられていましたが、今後の展示品は定期的に変わっていく予定です。

ミュージアムショップの隅にいる、ネズミちゃんもぜひ見つけてくださいね!


INFORMATION

ブルス・ド・コメルス ピノー・コレクション - Bourse de Commerce - Pinault Collection

住所パリの地区マップ
2 rue de Viarmes 75001 (地区:シャトレ・パリ市庁舎 )
TEL
01 55 04 60 60
最寄り駅メトロ路線図
Les Halles 4番線
開館日
月、水-日 11:00-19:00(金-21:00)、毎月第一土曜日の17:00-21:00(無料)
休館日
火、5/1
料金
14€、18〜26歳11€、17歳以下無料
パリ・ミュージアム・パス
不可
https://www.pinaultcollection.com/fr/boursedecommerce
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