どっしりとした亜鉛のカウンターに、無造作に積み上げられたデュラレックスのグラスは、フランスのカフェやビストロを象徴する風景のひとつですが、ここ5年ほどでちょっとした変化が訪れています。最初はぼんやりと感じていたものの、パリで人気のカフェに入るたびにデュラレックスとは違うグラスを見かけるようになり、あれ、ここも、あそこも、ひょっとしてこのグラスのブームが来てるのか?と。カリスマ的な人気を誇るコンセプトストア「Merci」で、このグラスを売っているのを見たときに、これは来てるー!とムーブメントを確信しました。
スタッキンググラスの王道だったデュラレックスの座を奪いつつあるのは、「Zinc(ザンク)」という名のグラス。メーカーの 「La Rochère(ラ・ロシェール)」は1475年に創業し、最初は窓ガラスの製造を中心としていたフランス最古のガラスメーカーです(ちなみに、デュラレックスは1945年創業)。ガラス製なのでグラスと呼んでいますが、正しくは、コーヒーのタスとして作られたもの。
デザイナーは1974年生まれのファブリス・ジビラロ。タンブラーの周りに入った15本の突起したラインは、飛行機のエンジンモーターからヒントを得たデザインで、熱い飲み物を入れても問題なく持てる工夫がされています。 両手で包み込めるサイズ感やちょうど良い重さ、そしてオブジェとしての美しさ・・・新進気鋭のデザイナーの斬新な発想と、老舗メーカーの確かな技術と長年培われたノウハウが絶妙に融合しているのを体感できます。食洗機にも入れられて、ガンガン普段使いできるのも魅力的。すでに4個の「Zinc」をヘビロテしている我が家ですが、あと2個は欲しいなと、すっかりこのグラスの虜になっています。1個5.5ユーロ(Merci価格)。
→ ラ・ロシェールのオフィシャルサイト(価格:6個入り28.8€)
→ パリのコンセプトストア Merci(メルシー)のオフィシャルサイト(価格:5.5€)
→ 大きなサイズ(価格:6.5€)も売っています。