ヴァレリー・ジスカール・デスタン元大統領が死去

1974年から1981年までの7年間、第20代フランス大統領を務めたヴァレリー・ジスカール・デスタン(Valérie Giscard d’Estaing)が12月2日(水)、新型コロナウイルス感染の影響により、94歳で亡くなりました。




「ジスカール」や「VGE(ヴェジェウ)」と呼ばれたこの元大統領は、1926年2月2日、当時フランス領だったドイツのコブレンツに生まれました。高級官僚だった父の後を追うように政治家の道へ。シャルル・ド・ゴール大統領、ポンピドゥー大統領の時代には財務大臣を務めました。1974年の大統領選では決選投票でフランソワ・ミッテランに勝利し、当時新記録だった48歳の若さで大統領に就任しました。

国内では成人年齢の引き下げや、妊娠中絶合法化、双方の合意に基づく離婚の許可など、リベラルな政策をとり、外交では欧州連合の強化に尽力。TGV開発や原子力産業開発にも力を入れました。

1981年の大統領選挙では社会党のフランソワ・ミッテランに破れ、大統領の座を退きますが、その後も国会議員、オーヴェルニュ地方議会議長、欧州議会議員などを歴任し、フランス政治の中心にい続けました。2003年にはアカデミー・フランセーズの会員に選ばれています。

ちなみに、ある年齢以上のフランス人が「ジスカール・デスタン」と聞いて必ず思い浮かべるのが、1981年大統領選に破れ、国民に対して最後のTV演説をしたときの姿です。演説を終えたジスカールは、「Au revoir(さようなら)」と言うと席を立ちます。通常ならここで放送を打ち切るところですが、なぜか画面は立ち去るジスカールの背中と空っぽになった椅子を映し続け、同時にラ・マルセイエーズが流れるというなんとも哀愁漂う演出に…このシーンは「Au revoir de Valérie Giscard d’Estaing(ヴァレリー・ジスカール・デスタンのさようなら)」と名付けられ、多くの人の心に刻まれました。

No Comments Yet

Comments are closed