2012年のオープン以来、ずっと良い噂を耳にしていたけれど、とにかく人気で予約がとりづらかったこのお店に、ようやく足を踏み入れることができました。オペラ地区と北駅・東駅地区とのちょうど中間、働くパリジャンが多いビジネス街にあり、無骨なまでにシンプルなファサードが好奇心をそそります。「隠れ家、避難場所」という意味の店名ともなんとなくマッチするような雰囲気です。
20席あるかないかのこぢんまりとしたお店の真ん中を占めるキッチンで忙しく立ち働くオーナーシェフは、ロブションやタイユヴァンなどの名店で経験を積んだ沖山克昭さん。そう、このところそのめざましい活躍がパリで注目されている日本人シェフのひとりです。高級レストランでガストロノミックな料理を追求してきた彼ですが、この「アブリ」ではあえて、カジュアルな雰囲気のビストロでレベルの高い料理をリーズナブルに提供する、他にはないお店づくりにチャレンジしているそうです。
昼のコースは前菜2品+魚または肉料理+デザートで25€、夜のコースは前菜3品+魚料理+肉料理+デザートで40€。昼のコースで肉か魚かを選べる以外は完全にシェフのおまかせなので、メニューに料理の名前は書かれておらず、内容は毎日変わります。たとえば私がいただいたのは、1つめの前菜がツヤツヤ輝くほど新鮮なサバのマリネ、2つめの前菜がクリーミーなポーチドエッグ&ニョッキ、メインに焼き加減が完璧な仔羊、デザートはムース・オ・ショコラでした。写真を見ていただけば一目瞭然ですが、とにかくひと皿ひと皿が美しい。そしてその素材の味の生かし方や絶妙な味付けは、高級店にも引けをとらないものでした。それを、このリラックスした「おしゃれな大衆食堂」で気軽に味わえるところが、まさにパリのフレンチの新しいカタチなのでしょう。
そして「アブリ」といえば、月曜と土曜のランチタイムだけ味わえる特製カツサンドとオーガニックドリンクのセット(13€)も話題です。メニューによれば「トンカツ、オムレツ、チーズ、キャベツ」をはさんでいるというこのカツサンドも非常においしそうなので次回はぜひ試してみたいと思います。
お話を伺っていて、シェフの沖山さんは、淡々と語りつつも、熱い情熱を内に秘めた方とお見受けしました。次はお蕎麦屋を開く計画もあるとか!これからの展開も楽しみです。
INFORMATION
Abri - アブリ
住所 →パリの地区マップ92 rue du Faubourg Poissonnière 75009 (地区:オペラ)
TEL
01 83 97 00 00
最寄り駅 →メトロ路線図
Poissonnière 7番線 徒歩1分
営業日
月 12:30-14:30、火~金 12:30~14:00、19:30~22:00、土 12:30-14:30、19:30~22:00
定休日
日
カード
VISA、MASTER
予算
カツサンドセット13€(月・土のみ)、昼コース25€、夜コース40€
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