ときには可愛らしかったり、味があったり、歴史を感じたり…パリを歩いていると出会う、街角のさまざまな風景を、パリに暮らす日本人イラストレーターmarineさんの手描きのイラストとともにお届けします。


24. Rôtisseur
ロースト屋さん


突然ですが、ロワールの古城を訪れたことはありますか?どんなお城にもたいてい、広々とした厨房があって、オーブンとして使われる巨大な暖炉や、塊肉を刺すための大きな串を見ることができます。このようなお城は王族や貴族の狩猟のための館としても使われたため、周囲の森で猪、鹿、野ウサギ、鳩などのジビエを狩り、厨房で焼いて食べるしきたりがありました。フランスでは今でも、こんがりローストしたお肉が一番のごちそう、という感覚がしっかり残っているような気がします。

というわけで前置きが長くなりましたが、「パリところどころ」第24回は、お肉のローストを専門とするお店です。普通のお肉屋さんでもローストチキンを扱う店は多いですが、生肉は扱わず、焼き上げた肉を専門に販売する店を、フランス語で rôtisseur、または rôtisserie と呼びます。

こういうお店では、鶏肉はもちろん、豚肉や仔羊、さらにはさまざまなソーセージまで、おいしく焼き上げられています。ここで一品買って、サラダでも添えれば、あっという間においしい食事ができあがる。そんな、忙しいときにも頼りになるありがたいお店です。

今回まりんさんが描いてくれたのは、ここ数年ですっかりグルメ通りに変貌した、北マレのブルターニュ通りにある「Stevenot」。1950年代にバスク地方で誕生し、現在はパリにも4店舗を構えます。オーヴェルニュ地方の上質な豚肉や仔羊肉、ランド地方の地鶏など素材にこだわり、ロースト以外にもサラダやお惣菜、シャルキュトリーなど、バラエティ豊かな品揃えです。

ロースト料理の代表格といえば、やはりローストチキン。このお店の店先にもローストチキンのマシンが設置されていて、こんがり焼ける香ばしい香りが食欲をそそります。丸鶏をくるくると回転させながら、じっくり焼き上げるローストチキンは、家庭のオーブンではなかなか再現しにくいもの。そんなときこそ、ロースト専門店の出番です。こういうマシンの受け皿にはたいてい、チキンから垂れる脂や旨味をしっかり吸い込むポテトがあります。これがまた、チキンの付け合せに最高なのです。

|Stevenot |

住所:31 rue de Bretagne 75003
rotisseriestevenot.fr
Instagram : @rotisseries_stevenot


⌘ イラストレーター

下山真鈴  Marine Shimoyama

東京生まれ、パリ在住。アパレルブランドのPRを経て、2006年に渡仏。パリでグラフィックアートを学んだのち、イラストレーターとして活動を開始。フランスと日本で、アパレル・コスメ関連のイラストや、雑誌やウェブサイトの挿絵などを手がける。パリの日常で見かけるおしゃれなパリジェンヌをイラストで紹介するブログ「パリウォッチ」をMadame Figaro Japonのウェブサイトで連載中。

|12ヶ月のパリジェンヌ||marine-illustration.com||Instagram|

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