〈パリところどころ〉21. 魚屋さん

ときには可愛らしかったり、味があったり、歴史を感じたり…パリを歩いていると出会う、街角のさまざまな風景を、パリに暮らす日本人イラストレーターmarineさんの手描きのイラストとともにお届けします。


21. Poissonnerie
魚屋さん


「パリところどころ」第21回は、お魚屋さんを取り上げます。フランスには昔から、「金曜日は魚を食べる日」という伝統があります。学校給食でも、金曜日には魚料理が出ることが少なくありません。これは、イエス・キリストが十字架にかけられた日が金曜日だったことに由来し、特にカトリック教会でこの日に肉や乳製品、卵などの動物性の食べ物を避ける習慣があったためです。

逆に言えば、かつては他の曜日は魚を食べなかったということでもあり、今も日本と比べると日常的に魚を食べる頻度は多くはありません。肉屋さんに比べると魚屋さんの数も少なめではありますが、大西洋や地中海に囲まれた国らしく、店先に並ぶ魚介類はバラエティに富んでいます。

フランスの魚屋では、氷の上に直接、魚がまるごと置かれていて、価格は1キロあたりで表示されています。切り身のパックが並ぶことはほとんどなく、まるごと一匹を買うか、その場で三枚におろしてもらいます。うろこ取りや内臓の処理、頭を落とすなどの下処理も好みに応じてお願いできます。ただ、お店によっては包丁さばきがなかなか豪快なので、日本の魚屋さんの丁寧な仕事に慣れていると初めは驚くかもしれません。

フランスで特に人気なのは、小骨が少なく淡白な味わいの白身魚です。ナイフとフォークでソースを添えて食べる食文化の影響もありそう。そして白身魚のほうが、イワシやサバなどの青魚より価格も高めです。繊細な味わいとプリプリした食感が魅力のCabillaudをはじめ、lieu jaune、lieu noir、colin、merlinなど、タラ科の魚の種類がとても多いのもフランスならでは。料理によって使い分けます。

魚だけでなく、魚介類の種類が豊富なのも魅力です。大小さまざまなエビやオマール、手長エビ、ホタテ、牡蠣、ムール貝、バイ貝、アサリ、カラス貝など、店先には色とりどりの海の幸が並びます。レストランで味わう「海の幸のプレート」は少し贅沢ですが、マルシェで好きな魚介だけを選んで、自分だけのプレートを作れば、手頃な価格で楽しむこともできます。

フランスの魚屋さんをのぞいて、日本との違いや共通点を探してみるのも旅の楽しみの一つ。今回Marineさんが描いてくれたのは、パリ19区にある「Poissonnerie Secrétan」。小さな漁船で水揚げされた質の高い魚介を扱う、地元民っ子たちに親しまれている魚屋さんです。

|Poissonnerie Secrétan |

住所:38 avenue Secrétan 75019
Instagram:@poissonneriesecretan


⌘ イラストレーター

下山真鈴  Marine Shimoyama

東京生まれ、パリ在住。アパレルブランドのPRを経て、2006年に渡仏。パリでグラフィックアートを学んだのち、イラストレーターとして活動を開始。フランスと日本で、アパレル・コスメ関連のイラストや、雑誌やウェブサイトの挿絵などを手がける。パリの日常で見かけるおしゃれなパリジェンヌをイラストで紹介するブログ「パリウォッチ」をMadame Figaro Japonのウェブサイトで連載中。

12ヶ月のパリジェンヌ||marine-illustration.com||Instagram

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