毎年6月に行われる大学の入学資格を得るための統一国家試験、バカロレア(Baccalauréat, 通称Bac バック)の季節がやってきました。今年は6月14日(水)の朝8時、例年どおり哲学の試験からスタート。50万人を超える高校3年生たちが受験しました。
この大学入学資格試験に、文系理系を問わず、「哲学」という科目が存在すること自体がとても「フランス的」で毎年注目しています。なんと、ナポレオン・ボナパルトが1808年にバカロレアを創設した当初から、哲学は試験科目になっていました。試験時間は4時間!の長丁場。トリコロル・パリの解釈で2023年哲学の問題をご紹介しますが、問題を翻訳すること自体が難しいので、フランス語が得意な方はぜひより良い訳を考えてみてくださいね。これを高校3年生が解くのだと想像しながら読むとさらに味わい深いです。
(2012年の問題・2013年の問題・2014年の問題・2015年の問題・2016年の問題・2017年の問題・2018年の問題・2019年の問題・2021年の問題・2022年の問題)
一般バカロレア(baccalauréat général)
3つのうち好きな1問を選んで答えよ
-Le bonheur est-il affaire de raison ?
(幸福は理性の問題か?)
-Vouloir la paix, est-ce vouloir la justice ?
(平和を求めることは、正義を求めることか?)
-Expliquer le texte suivant : un extrait de Lévi-Strauss, La Pensée sauvage (1962).
(レヴィ=ストロース『野生の思考』(1962年)の抜粋テキストを解説せよ。)
技術バカロレア(baccalauréat technologique)
3つのうち好きな1問を選んで答えよ
-L’art nous apprend-il quelque chose ?
(芸術は私たちに何かを教えるか?)
-Transformer la nature est-ce gagner en liberté ?
(自然を変えることは自由を獲得することか?)
-Expliquer un texte de Adam Smith, Théorie des sentiments moraux (1759)
(アダム・スミス『道徳感情論』(1759)の抜粋テキストを解説せよ。)