なんだか雨の多いパリからお届けする週末シャンソンは、雨をテーマにした名曲中の名曲「雨に唄えば」。アイム シーンギン インザレイン〜♪と雨降る中楽しげにタップを踏みながら踊るジーン・ケリーの名シーンも有名です。1952年公開のアメリカのミュージカル映画『雨に唄えば(原題:Singin’ in the Rain)』の劇中で歌われた1曲として知られていますが、元は1929年のMGM映画『ハリウッド・レヴュー』で初めて歌われた曲だそうで、こちらは未見なのでぜひ一度見たいものです。
映画『雨に唄えば』はこの曲の他にも後世に残る名曲がたくさんあり、個人的にも大好きな映画の一つです。サイレント時代からトーキー時代へ移り変わるアメリカ映画業界が舞台になっており、声、歌が大きなキーポイントになっていて、ストーリーも最高に楽しいです。世界的に大ヒットしたフランス映画『アーティスト』は確実にこの映画へのオマージュでもありましたね。
トリコロル・パリとしては是非、フランス語版の「雨に唄えば」を紹介したいと思います。訳詞とは思えないほどぴったりメロディにはまっていて、フランス語歌詞も素晴らしいんです。英語だと「I’m singin in the rain=私は雨の中で歌っている」ですがフランス語では「Chantons sous la pluie=雨の下で歌を歌おう」という表現になっているところがポイント。最後の「L’amour me sourit ! (恋が僕に微笑んでる)」なんていう歌詞も、オリジナル版にはありませんが、とってもフランスらしい表現だなと思います。下に歌詞を紹介していますので、一緒に口ずさんでみてください。
『雨に唄えば』フランス語版
〈雨に唄えば フランス語歌詞〉
Je chante sous la pluie
Je danse sous la pluie
miséreux, tout mouillé
et quand même alangui
Amoureux transi,
je ris aux vents fous
Soleil dans mon cœur
C’est l’amour mon atout
Si la pluie et le brouillard
ont vidé le boulevard,
la pluie me rend gai
La pluie, moi, ça me plait
J’patauge sous le grain
en chantant un p’tit refrain
Joli chant,
tout chante la pluie
Je danse sous la pluie
Dee-ah dee-ah dee-ah
Dee-ah dee-ah dee-ah
L’amour me sourit !
J’aime danser et chanter sous la pluie
ちなみに、フランス語版『アナと雪の女王』の記事(→記事を読む)でも書きましたが、日本の吹き替えほどオリジナルの口の動きに発音を合わせようとしないのがフランス語吹き替えあるある。音本来の響きや美しい韻を踏めるか、というところに重点を置いています。
いやぁ、それにしても長回しのダンスシーンは何度見ても息するのを忘れてしまうぐらい魅了されます!フランス語版を見たあとは、本家のジーン・ケリーの歌声も聴きたくなり、そっちも見てしまうという・・・雨の日も気分を明るくしてくれる名曲です。