〈パリところどころ〉14. 「エミリー、パリへ行く」のガブリエルのレストラン

ときには可愛らしかったり、味があったり、歴史を感じたり…パリを歩いていると出会う、街角のさまざまな風景を、パリに暮らす日本人イラストレーターmarineさんの手描きのイラストとともにお届けします。




14. Restaurant de Gabriel, “Emily in Paris”
「エミリー、パリへ行く」のガブリエルのレストラン

「パリところどころ」第14回は、カルチエ・ラタンの新たな名所になったエストラパード広場に面した、とあるレストランです。

ここは、フランスの偉人たちが祀られているパンテオンのすぐ南にある三角形の広場。石造りの美しい建物に囲まれ、中央が噴水のある小さな公園になっていて、並木や花壇が四季折々の美しさを見せてくれます。これまでは知る人ぞ知るスポットでしたが、この数年、突如として、世界中から観光客がひっきりなしに訪れる人気スポットとなりました。

その理由は、2020年10月からNetflixで配信が始まったアメリカのテレビシリーズ『エミリー、パリへ行く(Emily in Paris)』の舞台になったから。このドラマは、シカゴからパリに移住したアメリカ人女性エミリーがさまざまなカルチャーギャップに悩みつつも、仕事に恋にと奮闘する日々を描き、パリの美しい街並みや、登場人物たちの華やかなファッションも見どころ。現在シーズン3まで配信中です。

これをきっかけにパリを訪れ、ロケ地巡りをする人が必ず訪れるのがまさに、上で紹介したエストラパード広場。なぜなら、このドラマで重要なスポット3つがここに集まっているからなのです。広場の1番地には主人公のエミリーが暮らすアパルトマンが、広場に面したフォセ・サン・ジャック通り16番地にはエミリー行きつけのブランジュリーがあります。ここは「ブランジュリー・モデルヌ」というごくごく普通の地元のパン屋さんなのですが、ドラマに登場して以来、世界中のファンたちが、エミリーを真似てパン・オ・ショコラを買っていく聖地になりました。この広場自体がまるで小さな村のような感覚になる場所なので、エミリーの日常がここにあるのだということがわかりやすい設定になっており、さすが、ドラマのロケ地を決める人はよくわかっているなあと感心します。

そして今回、marineさんが描いてくれたのが、同じフォセ・サン・ジャック通りの18番地にあるレストラン。ドラマの中では、エミリーが恋心を抱くシェフ、ガブリエルが腕をふるうフレンチレストランとして登場しますが、実際は「Terra nova」というイタリアンレストランです。暖かい季節には外にテラス席も出て、いい雰囲気。赤いファサードに赤いひさし、そして、すぐ隣の赤い扉も可愛らしく、映えることこの上なし。記念撮影するファンたちでいつもにぎわっています。

|Place de l’Estrapade |

住所:place de l’Estrapade 75005

⌘ イラストレーター

下山真鈴  Marine Shimoyama

東京生まれ、パリ在住。アパレルブランドのPRを経て、2006年に渡仏。パリでグラフィックアートを学んだのち、イラストレーターとして活動を開始。フランスと日本で、アパレル・コスメ関連のイラストや、雑誌やウェブサイトの挿絵などを手がける。パリの日常で見かけるおしゃれなパリジェンヌをイラストで紹介するブログ「パリウォッチ」をMadame Figaro Japonのウェブサイトで連載中。

12ヶ月のパリジェンヌ||marine-illustration.com||Instagram

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