〈パリところどころ〉11. ラ・メゾン・ローズ

ときには可愛らしかったり、味があったり、歴史を感じたり…パリを歩いていると出会う、街角のさまざまな風景を、パリに暮らす日本人イラストレーターmarineさんの手描きのイラストとともにお届けします。




11. La Maison Rose

「パリところどころ」第11回は、春の訪れを告げるようなピンクのファサードがかわいい「ラ・メゾン・ローズ」です。

ここは、20世紀の初めからモンマルトルの丘、サクレ・クール寺院の裏手にたたずむ小さなおうち。パリに唯一残るシャンソン酒場「ラパン・アジル」のあるソール通りと、第5回で紹介したダリダ広場につながるアブルヴォワール通りの角にあります。ルノワールやユトリロとその母シュザンヌ・ヴァラドンが暮らした建物(現モンマルトル美術館)があるコルトー通りもすぐ近く。このあたりは、19世紀半ばにパリ市に統合されるまで風車と葡萄畑が広がる郊外の農村だったモンマルトルの、「パリのなかの田舎」と呼ばれるにふさわしいのどかな風景が今も残されていて、のんびりお散歩したいエリアです。

スペインの画家ラモン・ピチョットが1905年にこの一軒家を購入。1908年に結婚した妻で絵画モデルのジェルメーヌ・ピチョットが壁をピンクに塗り替えて、1階にレストラン「ラ・メゾン・ローズ」を開くと、ピカソやユトリロなど、モンマルトルを拠点にしていた名だたる芸術家たちに愛されるようになりました。後ろの建物に寄りかかるように立つピンクの家は、今も昔もフォトジェニックで、ユトリロをはじめ、さまざまな画家に描かれたのも納得です。気になる現在ですが、いかにも観光客向けのお店なのかと思いきや、産地にこだわった食材を使ったモダンクラシックなフレンチを、比較的リーズナブルに楽しめるお店になっています。モンマルトル散策の途中に、ぜひ立ち寄りたいお店です。

ちなみに、『エミリー、パリへ行く』のシーズン1でエミリーとミンディがこの店のテラスでワインを楽しむシーンが登場することもあってか、ここ数年は以前に増して、ほんとうにたくさんの旅行者がひと目見ようとやってくる名所になっています。

La Maison Rose

住所:2 rue de l’Abreuvoir 75018

⌘ イラストレーター

下山真鈴  Marine Shimoyama

東京生まれ、パリ在住。アパレルブランドのPRを経て、2006年に渡仏。パリでグラフィックアートを学んだのち、イラストレーターとして活動を開始。フランスと日本で、アパレル・コスメ関連のイラストや、雑誌やウェブサイトの挿絵などを手がける。パリの日常で見かけるおしゃれなパリジェンヌをイラストで紹介するブログ「パリウォッチ」をMadame Figaro Japonのウェブサイトで連載中。

12ヶ月のパリジェンヌ||marine-illustration.com||Instagram

⌘ 「パリところどころ」バックナンバー

No Comments Yet

Comments are closed