30. Epluche-légumes Therias et L’Econome
ナイフ型ピーラー「レコノム」
このイラストをパッと見ただけで、何か分かった人はなかなかのフランス通。これは、フランス家庭で一般的に使われている野菜のピーラーで、まるで小型ナイフのような姿をしています。中でも有名なのが、木製の持ち手に3つの傘のロゴが描かれた「L’Econome(レコノム)」です。
レコノムはフランス中部のオーヴェルニュ地方にあるティエールという町で、Therias社のヴィクトール・プゼという人が1929年に発明した皮むき器の商標名。このピーラーの大ヒットにより、皮むき器全般を指すun économe(エコノム)という単語が生まれ、今では一般的なピーラーを指す名前として使われています(本来フランス語のピーラーはÉpluche-légumesまたはÉplucheur)。誕生以来、変わらぬ技術と製法で多くのフランス人に愛され続けたレコノムでしたが、2018年5月に経営不振のため工場を閉じ、現在はカルヴァドス地方にある別の工場が製造を続けているとのことです。
ちなみに、ティエールは刃物作りの町として長い歴史を誇り、Therias以外にも多くの工場や職人さんが今も現役で切れ味の素晴らしいナイフや包丁などを作り続けています。
日本で一般的なT字型のピーラーと異なるレコノムの特徴は、押しても引いても皮がむけること。じゃがいもは前に向かってシャッシャッと細かく動かしても良し、包丁でするように親指を添えて外側から内側へすべらせても良しで、自由度が高く小回りがききます。芽や芯は刃先を使って取り除けます。りんごの皮は包丁ではなく、レコノムを使ってむく人も結構いて驚きます。
木製の持ち手は茶色が定番ですが、今はイエローやブルーなど、色とりどり選べて楽しいです。「レコノム」以外にも、多くのブランドがナイフ型のピーラーを出していて、よりモダンなデザインや持ち手がプラスチックのものなど様々です。値段も手頃で、普通のスーパーや雑貨店で見つかるので、
パリ土産としてもおすすめです。
価格:ECONOME 6.6€
パリの雑貨店ラ・トレゾルリーのオンラインショップ:Therias et L’Economeのナイフ型ピーラー
⌘ フランスで見つけたおいしいものとかわいいもの
フランスに星の数ほどあるおいしいものとかわいいものを、トリコロル・パリの目線でご紹介。パリに暮らす日本人イラストレーターmarineさんの手描きのイラストとともに、歴史のあるもの、職人さんが手作りするもの、フランス人なら誰もが知る庶民的なもの、今流行しているもの・・・など、フランスのあらゆるMerveille(素敵なもの)をお届けします。
⌘ イラストレーター
下山真鈴 Marine Shimoyama
東京生まれ、パリ在住。アパレルブランドのPRを経て、2006年に渡仏。パリでグラフィックアートを学んだのち、イラストレーターとして活動を開始。フランスと日本で、アパレル・コスメ関連のイラストや、雑誌やウェブサイトの挿絵などを手がける。パリの日常で見かけるおしゃれなパリジェンヌをイラストで紹介するブログ「パリウォッチ」をMadame Figaro Japonのウェブサイトで連載中。
|12ヶ月のパリジェンヌ||marine-illustration.com||Instagram|
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