ゲンズブール、ゴダール、トリュフォーのお気に入り映画を見よう

フランスのラジオとテレビのアーカイブの宝庫であるINA(L’Institut national de l’audiovisuel フランス国立視聴覚研究所)のサイトで「著名人の記憶に残る映画」のインタビューをまとめた動画を見つけました。ゲンズブールやゴダールをはじめ、各界のスターが個人的に思い入れのある映画を挙げています。自宅で過ごす「おうち時間」がたっぷりある今、彼らのお気に入りの映画をチェックしてみてはいかがでしょう?

ヴァレリー・ジスカール・デスタン 第20代フランス大統領
『天井桟敷の人々』1945年

最初に登場するジスカール・デスタン元大統領は、「無人島に1つ映画を持っていくなら?」という質問に対してマルセル・カルネのこの作品を挙げています。映画史に残る名作中の名作です。動画の後半に出てくるジャン=ジャック・ベネックス監督も同じ映画を選んでいます。原題「Les enfants du Paradis」

ジャン=リュック・ゴダール
『ラ・シオタ駅への列車の到着』1895年

映画の父と呼ばれるリュミエール兄弟が撮影したドキュメンタリー映像。蒸気をあげてホームに向かってくる機関車の映像は白黒サイレントとはいえとても迫力があります。原題「L’arrivée d’un train en gare de La Ciotat」
Youtubeで見られます↓

セルジュ・ゲンズブール
『暗黒街の顔役』1932年

原題の「Scarface」から分かる通り、あのアル・パチーノ主演の「スカーフェイス」の原案となった作品。ハワード・ホークスが監督した1932年の作品です。ゲンズブールが初めて観たのが1934年、当時6歳だったそうです。戦後に見直し、その後も見ていると語っています。

『アスファルト・ジャングル』1950年

ジョン・ヒューストン監督。ゲンズブールは「スリラー映画の中で最も素晴らしい」と言っています。原題「The Asphalt Jungle」




クロード・シャブロル
『サンライズ』1927年

ドイツ出身F・W・ムルナウ監督のアメリカ映画。原題「Sunrise」

クロード・ルルーシュ
『戦争と貞操』1957年

のちに『鶴は飛んでゆく』へ改題されたロシア映画。ルルーシュ監督が当時モスクワで観賞し、映画を撮りたいと思うきっかけとなった作品だそう。

アラン・コルノー
『ムーンフリート』1955年

オーストリア出身の監督フリッツ・ラングの作品で、シンプルな中にも映画にとって重要なエッセンスがあると語っています。

ジャン=ピエール・モッキー
『裸の島』1960年

監督、俳優、映画プロデューサーなど様々な顔を持ったモッキーが、「世界最高の映画」と称するのは、新藤兼人監督の『裸の島』です。その理由は「何もないから」。畑にやる水を運ぶ男が、その水をこぼしただけでドラマが生まれる、それ以外は何も無い映画だと。いかに優れた演出ですらこういう映画はできなかった。あのチャップリンですら常にトリックや仕掛けを使っていたので、こういうものはできなかった、と語っています。

ピエール・リシャール
『毒薬』1951年

ロシア出身でフランスを代表する劇作家サシャ・ギトリの『毒薬』。原題「La Poison」

フランソワ・トリュフォー
『裏窓』1954年
『黄金の馬車』1953年

映画館でリバイバル上映されるたびに見てしまうのがヒッチコックの『裏窓』とジャン・ルノワールの『黄金の馬車』の2作品。パリで年に4回上映されれば4回とも足を運ぶので、人生で25〜30回は観ているし、どのフィルムをコピーしたものかまで映像の傷で分かるのだそう!!さすが、トリュフォー・・・

レスリー・キャロン
『大人は判ってくれない』1959年

フランス人ダンサーのレスリー・キャロンが選んだのは、トリュフォー監督の『大人は判ってくれない』。原題「Les Quatre Cents Coups」

ジョニー・アリデイ
『風と共に去りぬ』1932年
『欲望という名の電車』1951年
『波止場』1954年

誰もが知る不朽の名作『風と共に去りぬ』と、エリア・カザン監督でマーロン・ブランド主演の2作品。これぞアメリカ映画!というジョニーらしいセレクトですね。



クロード・ソーテ
『陽は昇る』1939年

これまたマルセル・カルネ監督の作品で原題は「Le jour se lève」。偶然入った映画館で見て、1回目の上映のあとカフェに入り、また映画館に戻り、その後夜の回も含めて同じ日に3回も観たと話しています。

アンリ・シャピエ
『アメリカ アメリカ』1963年

映画批評家のシャピエが選んだのは、エリア・カザン監督の作品。

ジル・ジャコブ
『ゲームの規則』1939年

カンヌ映画祭きっての名物会長だったジル・ジャコブはジャン・ルノワール監督の「La Règle du jeu」を選んでいます。

ジャック・ドニオル=ヴァルクローズ
『アレクサンドル・ネフスキー』1938年

映画批評家でもあり脚本家、映画監督でもあったヴァルクローズはセルゲイ・エイゼンシュタイン監督の『アレクサンドル・ネフスキー』を挙げています。同監督の有名な『戦艦ポチョムキン』ではなく、あえてのセレクトでしょう。

アントワーヌ・ドゥ・コーヌ
『悪人と美女』1952年
『イヴの総て』1950年
『幽霊と未亡人』1947年

彼が最も頻繁に観る映画としてヴィンセント・ミネリ監督の『悪人と美女』を挙げています。今年2月に亡くなったカーク・ダグラス主演の映画です。他に、マリリン・モンローが美しい『イヴの総て』とフィリップ・ダン監督の『幽霊と未亡人』。いずれもアメリカ映画です。

いかがでしょうか?フランスの著名人たちが過去に挙げたお気に入りの映画たち・・・古い時代の映画ばかりですが、私自身、未見の作品がとても多く、この機会にぜひ観てみたいと思いました!

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