今回marineさんが描いてくれたのは、1月の「おいしいもの」としては欠かせないガレット・デ・ロワ!香ばしく焼かれたパイ生地のなかにフランジパンと呼ばれるアーモンドのクリームが入った丸い焼き菓子。日本でもだいぶ知られるようになってきたと聞きましたが、皆さん、食べましたか?
1月6日の公現祭(エピファニー)に食べるならわしとはいえ、早いところでは12月末からお店に並び始め、1月末くらいまでずっと売っているので、ついつい何度も食べてしまうんですよね。パン屋さんやパティスリーによってそれぞれに味の違いがあるので食べ比べするのも楽しみです。
ご存知のとおり、ガレット・デ・ロワにはフェーヴ(そら豆)と呼ばれる陶製の小さなマスコットが1つ入っているのが特徴。marineさんのイラストでは、イエス・キリストが誕生を祝ってやってきたという東方の三博士の姿をかたどった、伝統的なフェーヴを描いていただきましたが、人気のキャラクターやフランス各地の観光名所、いろんな職業の人々をかたどったありとあらゆるフェーヴがあり、どんな形のフェーヴが出てくるかもお楽しみのひとつになっています。
自分の食べたピースの中にフェーヴがあった人は王様または女王様になり、王冠を頭に載せます。紙でできた簡単なものでも、とにかくガレットを買うともれなく王冠がついてくるのはそのせいです。子供に当たると大喜びで盛り上がるのはもちろんですが、大の大人が澄ました顔で王冠を載せてガレットを食べている姿はまたなんともキュートで好きな光景です。
フランスに星の数ほどあるおいしいものとかわいいものを、トリコロル・パリの目線でご紹介。パリに暮らす日本人イラストレーターmarineさんの手描きのイラストとともに、歴史のあるもの、職人さんが手作りするもの、フランス人なら誰もが知る庶民的なもの、今流行しているもの・・・など、フランスのあらゆるMerveille(素敵なもの)をお届けします。
下山真鈴 Marine Shimoyama
東京生まれ、パリ在住。アパレルブランドのPRを経て、2006年に渡仏。パリでグラフィックアートを学んだのち、イラストレーターとして活動を開始。フランスと日本で、アパレル・コスメ関連のイラストや、雑誌やウェブサイトの挿絵などを手がける。パリの日常で見かけるおしゃれなパリジェンヌをイラストで紹介するブログ「パリウォッチ」をMadame Figaro Japonのウェブサイトで連載中。