01. Petit beurre de LU



リュのプチブールは、1886年にフランス西部の街ナントで誕生し、今もスーパーで普通に売られている超がつくほどロングランのベストセラー商品。直訳すると「Petit Beurre=小さなバター」という名を持つこのビスケットは、老舗の製菓メーカー「LU(リュ)」の創始者であるルイ・ルフェーヴル・ユティルが考案しました。それから130年の月日が流れた今も、当時使っていたビスケット型とまったく変わらない形を受け継ぎ、フリルで縁取られた長方形のプチ・ブールの形はフランスで定着しています。




お茶の時間に使うレース編みの敷物から発想したというこの形には、実は深い意味が込められています。まず、4つの角にある「Oreilles=耳」と呼ばれる突起した部分は四季を表し、周りを縁取るフリルは「Dents=歯」と名付けられ全部で52の歯があり、これは1年間の52週を意味します。そして、ビスケット全面に横6つ、縦4つに整然と並ぶ小さな24個の点は1日の24時間を示しています。自然の摂理に基づいたデザインが、このビスケットをさらにおいしくしている秘密の魔法かもしれない?と思ってしまいます。

フランス人はそれぞれ食べ方にこだわりがあり、角の4つの耳を先にかじる人、必ずコーヒーや紅茶に浸して食べる人など、まるでたい焼きの頭としっぽ、どちらから食べるかを談義する日本人のように、プチ・ブールの食べ方談義で熱く語ることでしょう。お店によって値段は違いますが、1箱が3ユーロ前後で買えるのが一般的です。いろんなメーカーがプチ・ブールを出していますが、オリジナルを味わうなら「Véritable Petit Beurre(正真正銘のプチ・ブール)」と書いてある「LU」のプチ・ブールがおすすめです。

LUのPetit beurreオフィシャルサイト





フランスに星の数ほどあるおいしいものとかわいいものを、トリコロル・パリの目線でご紹介。パリに暮らす日本人イラストレーターmarineさんの手描きのイラストとともに、歴史のあるもの、職人さんが手作りするもの、フランス人なら誰もが知る庶民的なもの、今流行しているもの・・・など、フランスのあらゆるMerveille(素敵なもの)をお届けします。

下山真鈴  Marine Shimoyama

東京生まれ、パリ在住。アパレルブランドのPRを経て、2006年に渡仏。パリでグラフィックアートを学んだのち、イラストレーターとして活動を開始。フランスと日本で、アパレル・コスメ関連のイラストや、雑誌やウェブサイトの挿絵などを手がける。パリの日常で見かけるおしゃれなパリジェンヌをイラストで紹介するブログ「パリウォッチ」をMadame Figaro Japonのウェブサイトで連載中。

12ヶ月のパリジェンヌ
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